シェーンブルン宮殿と庭園群(読み)シェーンブルンきゅうでんとていえんぐん

世界遺産詳解 の解説

シェーンブルンきゅうでんとていえんぐん【シェーンブルン宮殿と庭園群】

1996年に登録されたオーストリアの世界遺産(文化遺産)で、首都ウィーン南西にあるハプスブルク王朝の離宮。1700年にレオポルト1世の狩猟用の別荘として建設されて以降、歴代の皇帝らが増築を重ね、18世紀後半、オーストリア系ハプスブルク家最後の君主といわれた皇后マリア・テレジア(1717~1780年)の時代に完成したウィーン風ロココ様式の宮殿である。世界遺産に登録されているのは壮麗なシェーンブルン宮殿バロック様式庭園。1752年に動物園(現存する世界最古)として造られ、その後改造を加えながら完成した。東西約1.2km、南北約1kmの規模を持ち、1779年頃から市民にも開放された。この宮殿と庭園は数々の歴史の舞台となった場所でもある。1762年、実質的な神聖ローマ皇帝といわれたマリア・テレジア(実際には皇帝ではない)の娘マリー・アントワネットがこの離宮に滞在しているときに、6歳の神童モーツァルトが招待されて訪れている。また、フランス皇帝のナポレオン1世がウィーンを占領した1805年と1809年には司令部として利用し滞在したほか、ウィーン会議の舞台にもなり、東西冷戦下の1961年には、アメリカのケネディ大統領と旧ソ連のフルシチョフ首相との会談の場所としても利用された。◇英名はPalace and Gardens of Schönbrunn

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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