シベトン(その他表記)civetone

改訂新版 世界大百科事典 「シベトン」の意味・わかりやすい解説

シベトン
civetone


アフリカおよびインド産のジャコウネコの香囊(会陰腺)に蓄えられる動物性香料,霊猫香(れいびようこう)(シベット)の芳香成分。白色または無色結晶比重液体)0.92,融点32℃,沸点344℃。水に難溶,アルコール,油に可溶。極端に希釈すると麝香(じやこう)様の香気を示す。大環状ケトンの構造をもつ。1912年初めて分離され,その構造はL.ルジチカにより究明された。貴重な香気物質で,高級調合香料として,シトラスコロン,オリエンタル,ローズ系調合香料として重用されている。現在,工業的合成法が検討されているが,まだ成功していない。
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化学辞典 第2版 「シベトン」の解説

シベトン
シベトン
civetone

9-cycloheptadecen-1-one.C17H30O(250.43).アフリカ産のシベット猫の分泌物からつくられる麝(じゃ)香の香気成分.融点31 ℃,沸点159 ℃(266 Pa).0.9135.1.482.水に不溶,有機溶媒に可溶.化粧品調合香料,保留剤に用いられる.[CAS 542-46-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シベトン」の意味・わかりやすい解説

シベトン
civetone

ジャコウネコの生殖器肛門の間にある香嚢の内容物であるじゃ香の芳香成分。化学式は (CHCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)2CO 。ジャコウジカからとれるじゃ香の芳香成分はムスコンといわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のシベトンの言及

【霊猫香】より

…シベット採取のための飼育は,現在アフリカ産に限られているが,高温・多湿下,良質の餌(牛乳,卵白)を与えて,1回に7~8g,年間40回程度採取する(年間採取量約300g)。シベットの清冽な香気の主体はシベトンcivetoneで,ムスクと同様,大環状ケトンであるが,ムスクよりはその香気はデリケートであるとされている。高級香料の調香用に,また保留剤として重用され,古くから強精・強壮剤としても用いられている。…

【人造麝香】より

…代表的動物性香料の麝香はその優れた香りのゆえに古来珍重されているが,採取量が少なく,きわめて高価である。その主成分であるムスコン,麝香に似た香りをもつ霊猫香(れいびようこう)の主成分シベトンは実験室では合成されてはいるが,工業的につくられるまでには至っていない。そのため麝香に似た香りをもつ化学物質の探索,合成が行われている。…

【霊猫香】より

…シベット採取のための飼育は,現在アフリカ産に限られているが,高温・多湿下,良質の餌(牛乳,卵白)を与えて,1回に7~8g,年間40回程度採取する(年間採取量約300g)。シベットの清冽な香気の主体はシベトンcivetoneで,ムスクと同様,大環状ケトンであるが,ムスクよりはその香気はデリケートであるとされている。高級香料の調香用に,また保留剤として重用され,古くから強精・強壮剤としても用いられている。…

※「シベトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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