日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャルモン」の意味・わかりやすい解説
シャルモン
しゃるもん
Josef Charmont
(1859―1922)
フランスの法学者。モンペリエ大学で民法学を講義。『自然法の再生』La renaissance du droit naturel(1910)の著者として知られる。彼はこの著書において、法の危機を訴え、その危機は法の理想を軽視する当時の歴史学派、実証学派に由来するとして、新しい法的理想主義=自然法を再生させなければならないと説く。もっとも、その自然法は、中世、近世を通じて唱えられた超歴史的、永久不変の自然法ではなく、限られた時代、空間における理想の法といったものである。このような思想は、19世紀末からヨーロッパに盛んとなり、新自然法思想とよばれたが、この著書はその運動に大きな貢献をした。主著にはほかに『私法変遷論』La transformation du droit civil(1912)がある。
[高橋康之]