シャープレー(読み)しゃーぷれー(その他表記)Lloyd Stowell Shapley

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャープレー」の意味・わかりやすい解説

シャープレー
しゃーぷれー
Lloyd Stowell Shapley
(1923―2016)

アメリカの経済学者・数学者、ゲーム理論権威。マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。異なる好みや嗜好(しこう)をもつ経済主体同士の組合せを研究するマッチング理論Matching Theoryの先駆者である。専門は数理経済学、ゲーム理論、マッチング理論。

 1948年、ハーバード大学を卒業(数学士)し、1953年プリンストン大学で数学博士号(Ph.D.)を取得。長くシンクタンクのランド研究所に勤めた後、1981年からカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授を務め、2001年に名誉教授。アリゾナ州トゥーソン(ツーソン)で死去した。

 シャープレーは、数学者デビッド・ゲールDavid Gale(1921―2008)とともに、1962年の論文「College Admissions and the Stability of Marriage」で、複数の男女が参加する結婚問題(stable marriage problem)を扱い、ゲーム理論を応用して、どの参加者もペアを解消する理由のない最適組合せ(安定マッチング、stable matching)がかならず一つは存在することを証明。安定マッチングの一つ、ないし二つを求める「ゲール‐シャープレー・アルゴリズムGale-Shapley Algorism」という手法を導き出した。このマッチング理論が、1980年代にアルビンロスによって研修医配属公立学校の選択、臓器移植などの実社会の制度設計マーケット・デザイン)で適用された。一連業績を、ノーベル賞委員会は「安定配分の理論とマーケット・デザインの実践」を確立したと讃え、マッチング理論を実社会に応用したロスとともに、2012年にノーベル経済学賞を授与した。

[矢野 武 2021年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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