2000年に登録されたフランスの世界遺産(文化遺産)。ルネサンス期の景観を今に残す城館群が、ロワール川の流域に点在する。ロワール川はフランスの中部を流れナントの下流で三角州を抜け大西洋に注ぐ全長1012kmの大河。流域面積が国土の5分の1にも及ぶロワール川の流域は、15世紀前後に王侯貴族によって建造された城館や庭園が数多くあることから「フランスの庭」とも呼ばれ、シュリー-シュル-ロワールからシャロンヌまでの約200kmには多彩な城館がその景観を誇っている。フランソワ1世がレオナルド・ダ・ヴィンチの設計案を採用して造ったシャンボール城、多様な建築様式が入り混じり、まるで宮廷博物館のようなブロワ城、愛妾のためにアンリ2世が建てたといわれるシュノンソー城、さらにはアンボワーズ城、アゼ・ル・リドー城、ヴィランドリー城などが、中世の城塞とは違ったルネサンス王侯貴族の優雅な生活ぶりを彷彿とさせていることから、その文化的な価値が認められ、世界遺産に登録された。ちなみに、1981年に「シャンボールの城と領地」として世界遺産に単独登録されていたシャンボール城は、この物件に含まれることになった。◇英名はThe Loire Valley between Sully-sur-Loire and Chalonnes