フランス中部,ロアール・エ・シェール県の小村。人口230(1975)。ロアール川支流コソン川のほとりにそびえるルネサンス様式の華麗な城館で知られる。この城館は,長辺154m,短辺117mの方形を呈し,部屋数440,階段数84,煙突数365と,ロアール河畔で最大の規模をもつ。フランソア1世の依頼によってイタリア人建築家ドメニコ・ダ・コルトナDomenico da Cortona(1470ころ-1549ころ)が設計したものと推測される。1519年に起工され,途中中断しながらも,50年過ぎに完成。方形の平面に櫓(やぐら)を配する形式は中世の城塞を引き継いでいるものの,円錐状の屋根,ランタン,小塔,軒窓などはイタリア・ルネサンスの意匠を見せている。中央部の館は一辺67mの正方形平面で,四隅にそれぞれ広々としたホールが配せられ,中央にはこれらのホールをつなぐ二重のらせん階段が設けられている。この巨大な階段は,1516年以降フランスに滞在したレオナルド・ダ・ビンチの案にもとづいて意匠されたともいう。ルイ14世の時代には,モリエールがここで《町人貴族》を初演した。総延長32kmに及ぶ壁に囲まれた5500haの広大な敷地を有し,その大半を占める森(4500ha)は古くから狩りの獲物の宝庫であった。夏の夜景も美しい。
執筆者:稲生 永+三宅 理一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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