日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーグフリード」の意味・わかりやすい解説
シーグフリード
しーぐふりーど
André Siegfried
(1875―1959)
フランスの政治経済学者、文明評論家。ルアーブルに生まれ、兵役後、20か月にわたる世界一周旅行によって、後の経済地理・政治地理学者としての素地を養った。帰仏後、政治家であった父ジュールの影響で下院議員選に三度たったが、すべて落選し、政治・経済の研究者に転向する。その後パリの父のサロンで当代の学者、文人、政治家と接触し、かつ何度も海外旅行をするなかで学殖を蓄えていった。世界各国の社会と文明について多くの著書を著したが、とくに『現代のアメリカ』(1927)は、新しい視点でアメリカをとらえ、20世紀文明がアメリカ中心となることを予言したものとして有名である。国際連盟のフランス代表部経済部長、コレージュ・ド・フランスの教授なども歴任した。アカデミー・フランセーズ会員。『フィガロ』など新聞・雑誌に数多く寄稿し、また、アンドレ・モーロアと並ぶ名講演家としても知られた。
[一杉哲也]
『木下半治訳『現代のアメリカ』(1941・青木書店)』▽『吉阪俊蔵訳『スイス=デモクラシーの証人』(岩波新書)』▽『河野与一・河盛好蔵訳『現代弁論術』(岩波新書)』▽『林捷夫訳『現代』(1957・紀伊國屋書店)』▽『鶴岡千仭訳『アメリカ――国土と国民』(1959・有斐閣)』▽『鈴木一郎訳『ユダヤの民と宗教』(岩波新書)』