ル・アーブル(読み)るあーぶる(英語表記)Le Havre

翻訳|Le Havre

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ル・アーブル」の意味・わかりやすい解説

ル・アーブル
るあーぶる
Le Havre

フランス北西部、セーヌ・マリティーム県の臨海工業都市。人口19万0905(1999)、17万2366(2015センサス)。パリ北西180キロメートル、セーヌ川の河口右岸に位置し、イギリス海峡に臨む。地中海マルセイユと並ぶ大貿易港を有し、1517年のフランソア1世による開港以来繁栄し続け、いまでは北米・中南米航路起点となっている。港から石油をはじめとする工業原料、熱帯作物などを輸入し、工業製品を輸出する。大西洋横断の輸送量は減少傾向にあるが、輸送旅客数は多い。貿易額はマルセイユに次ぎフランス第2位。セーヌ川の上流約88キロメートルに河港をもつルーアン以西の石油化学工業を中心とするバス(低)・セーヌ工業地帯に属し、造船、石油化学、鉄鋼、火力発電、熱帯材の加工、食品、繊維などの工業が港湾活動に結び付いて発達している。しかし、北方28キロメートルのアンチフェールAntiferに石油基地が建設されたため、工業活動の中心が北へ移動しつつある。鉄道、道路、海路、河川交通、航空路に恵まれ、パリにも近接しているため、工業化の進展著しい。セーヌ川上流約29キロメートルのタンカルビル橋Pont de Tancarville(1959開通)との間には運河も通じている。第二次世界大戦では市街地大半が破壊されたが、建築家オーギュスト・ペレ都市計画により復興され、近代的な姿となった。小説家ベルナルダン・ド・サンピエール、画家デュフィらの生地

[高橋伸夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ル・アーブル」の意味・わかりやすい解説

ルアーブル
Le Havre

フランス北西部,イギリス海峡に面するセーヌマリティム県の海港都市。セーヌ川河口北岸に位置する。アメリカ,イギリス,アフリカなどへの航路の起点。綿花,コーヒー,ココア,非鉄金属,ゴム,天然ガス,石油などの輸入港,工業製品の輸出港として繁栄し,その貿易額はマルセイユに次いでフランス第2位を占める。 1517年フランソア1世が漁村であったこの地に港を建設してル・アーブル・ド・グラース (恵みの港) と命名したのが町の起源で,捕鯨,タラ漁などの基地として発展。 17世紀にリシュリュー公の命で要塞化され,さらに 18世紀にルイ 16世によって港が整備され,第一級の海軍基地となった。第2次世界大戦で港湾,市街とも大半を破壊されたが,オーギュスト・ペレの都市計画によって再建され,戦前をしのぐ大都市となった。戦後の都市再建計画の傑出した例として,2005年世界遺産の文化遺産に登録された。工業も盛んで,造船,金属,自動車,食品,化学などの諸工業が行なわれ,特に石油工業の発達が著しい。聖ジョゼフ教会,印象派絵画の収集で知られる美術館などがある。人口 17万8769(2008)。

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