ジシアン

化学辞典 第2版 「ジシアン」の解説

ジシアン
ジシアン
cyanogen

ethanedinitrile.(CN)2(52.04).空気中で炭素電極を用いてアーク放電を行うと生成する.天体中に遊離基CNとして存在することが確認され,注目されている.シュウ酸アミドを五酸化二リンで脱水するか,水銀,金のシアン化物を強熱分解してつくられる.簡単にはシアン化水銀(Ⅱ)と塩化水銀(Ⅱ)の混合物を熱するか,また,硫酸銅の温濃厚水溶液に,濃厚なシアン化アルカリ水溶液を加えると生じる.無色の刺激臭の気体.還元すれば,エチレンジアミンを生じること,双極子モーメントが0であることなどからN≡C-C≡Nの直線分子と考えられる.空気を1としたときの密度1.81 g cm-3.融点-27.9 ℃,沸点-21.2 ℃.20 ℃ における溶解度450 mL/100 g(水),2300 mL/100 g(エタノール),500 mL/100 g(エーテル).水と反応してシアン化水素シアン酸,水酸化アルカリと反応してシアン化アルカリとシアン酸アルカリを生じる.化学的にハロゲン元素と類似した行動をとるハロゲノイドの一つ.水溶液は長時間放置すると,条件によってシュウ酸アミド,シアン酸アンモニウム尿素などを生じる.加熱すると1000 ℃ までは安定で,1500 ℃ で一部CN基に解離し,1500 ℃ 以上では炭素窒素に分解する.300 ℃ で長時間加熱すると水に不溶な重合体パラシアン (CN)x を生じる.光化学的にも重合する.重合体は800 ℃ で (CN)2 に分解する.空気中で緑の赤い炎をあげて燃える.この炎は非常に高温炎光分析に用いられる.猛毒.[CAS 2074-87-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ジシアン」の意味・わかりやすい解説

ジシアン
dicyan

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のジシアンの言及

【シアン】より

…ジシアンdicyan,シアノーゲンcyanogenともいう。化学式(CN)2。…

※「ジシアン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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