改訂新版 世界大百科事典 「ジャコーザ」の意味・わかりやすい解説
ジャコーザ
Giuseppe Giacosa
生没年:1847-1906
イタリアの劇作家。トリノ近郊のブルジョアの名家出身。デビュー作《チェスの試合》(1873)以来,中世,ルネサンスを舞台としたロマン主義的作品を書き続けるが,フランス自然主義や友人ベルガの影響を受けてしだいに写実的手法へ転換し,《悲しみの愛》(1887)や《木の葉のように》(1900)などに,当時のブルジョア社会の虚無と憂愁を描いた。彼の作風の変化は,後期ロマン主義からスカピリアトゥーラ派の動きを経てベリズモに至る19世紀後半の文学的状況をそのまま反映している。なお,プッチーニのオペラ《マノン・レスコー》(1893),《ラ・ボエーム》(1896),《トスカ》(1900),《蝶々夫人》(1904)の台本も手がけた。
執筆者:鷲平 京子
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