イギリスの作家フィールディングの長編小説。1742年刊。全4巻。その書き出しはS・リチャードソンの『パミラ』を揶揄(やゆ)する意図で始まる。主人公ジョーゼフは身分の高いロンドンのブービー夫人に奉公してその誘惑を受けるが、これをはねつけて解雇され、旧知のアダムズ牧師とともに、道中いろいろの事件にあいつつ故郷に帰って、恋人ファニーと結婚する。人間の尊敬すべき点は家格や富に関係なく、その誠実さにあることを主張した作。その序文は、笑うべきものとは何かを論じて、ベルクソンの『笑い』(1900)などの先駆的文章とされる。
[朱牟田夏雄]
『朱牟田夏雄訳『世界の文学4 ジョウゼフ・アンドルーズ』(1966・中央公論社)』
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