スイートピー(読み)すいーとぴー(その他表記)sweet pea

翻訳|sweet pea

デジタル大辞泉 「スイートピー」の意味・読み・例文・類語

スイート‐ピー(sweet pea)

マメ科蔓性つるせい一年草。高さ1~2メートル。葉は羽状複葉で、最下部の一対の小葉のほかは、巻きひげになっている。葉のわきに大形の紅・桃・紫・白色などの蝶形花をつける。イタリアシチリア島原産麝香豌豆じゃこうえんどう麝香連理草スウィートピー 春》「花揺れて―を束ね居る/汀女

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精選版 日本国語大辞典 「スイートピー」の意味・読み・例文・類語

スイートピー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] sweet pea ) マメ科のつる性一年草。イタリアのシチリア島原産で、観賞用に栽培される多数の園芸品種があり、花色も淡紅、桃、白などがある。日本には文久年間(一八六一‐六四)にすでに渡来していたことが知られている。全体に白い粗毛を生じる。茎は両側に狭い翼をもち巻ひげで他物にからんで伸び、高さ一~二メートルに達する。葉は長さ約三センチメートルの卵状楕円形の一対の小葉からなる。初夏葉腋から長い花柄を出し、芳香のある長さ二~三センチメートルの蝶形花を二~四個ずつ開く。果実は長さ約五センチメートルの長楕円形の莢果で粗毛に被われる。じゃこうそう。じゃこうえんどう。じゃこうれんりそう。においえんどう。《 季語・春‐夏 》 〔舶来語便覧(1912)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スイートピー」の意味・わかりやすい解説

スイートピー
すいーとぴー
sweet pea
[学] Lathyrus odoratus L.

マメ科(APG分類:マメ科)の一年生つる草。和名はジャコウエンドウ麝香豌豆)、ジャコウレンリソウ(麝香蓮理草)。属名のLathyrusエンドウのギリシア古名で、種名のodoratusはラテン語の「香気ある」という意味である。イタリアのシチリア島原産で、日本へは1862年(文久2)には渡来していた。茎は稜(りょう)形で翼があり、つるは長く、巻きひげに支えられて高さ1~2メートルになる。葉は羽状複葉で、短い柄がある。葉腋(ようえき)から花柄を出し、先端に径2~3センチメートルで芳香のある蝶形花(ちょうけいか)を3~4個開く。花色は紅、桃、青、紫、白色など豊富である。

 品種により夏咲き、春咲き、冬咲きがあるが、日本でスイートピーといえば一般には温室で栽培される冬咲き種をさす。夏咲き種はもっとも古くから作出された系統で耐寒・耐暑性が強い。欧米で改良が進み、大輪で多花性のものがつくられている。10月に播種(はしゅ)すると、翌年5~6月に開花する。花色は紅、桃、青、白色などがある。つる性にならない矮性(わいせい)種のリトル・スイートハートは高さ約30センチメートルで、花壇や鉢植え用に人気がある。春咲き種は冬咲き種と夏咲き種の中間の性質があり、初夏の鉢物や花壇に利用される。暖地の戸外では4月下旬から咲き始める。ロイヤル系、カスバーソン・フロリバンダの春咲き種が多くつくられる。冬咲き種は温室内で育てられ、主として切り花用とする。系統はスペンサー系、マルチフローラ系がよく栽培される。代表品種はアメリカン・ビューティー(紅色)、グロリア(桃色)、リリー(白色)などである。ほかに冬咲き種で矮性のピュー系もよく栽培されるが、これは花が大輪で花壇、鉢植え用とする。

[岩井英明 2019年10月18日]

栽培

排水のよい肥沃(ひよく)で耕土の深い土質に植え、日によく当てて育てる。日当りが悪いと生育が悪く、花つきもよくない。花壇ならば、春咲き種は10月上~中旬、夏咲き種は10月中~下旬に、間隔20~30センチメートル、深さ2.5~3センチメートルで、1か所に3、4個の種子を直播(じかま)きする。発芽後は防寒をしなくても、そのまま越冬する。温室での切り花栽培は、冬咲き種を8月下旬ころ、4、5号鉢に3、4個播き露地で育て、発芽して茎がそろったら温室内に定植する。温室内は上下に針金を張って1株ごとに水糸を張るか、支柱を立ててこれにつるを誘引して垂直に伸ばす。つるが伸びて上部に達したら、つるを輪にして巻き下ろす。日中約20℃、夜間約10℃に保てば、12月から切り花ができる。

[岩井英明 2019年10月18日]

文化史

スイートピーは1650年、神父のフランシス・クパニFrancis Cupaniがシチリア島でみいだした。1699年にはイギリスに送られ、花の改良が始まり、1718年には白花がつくりだされた。品種改良に大きく貢献したのはイギリスのヘンリー・エックフォードHenry Eckfordで、スイートピーの父とよばれる。1900年のスイートピー200年展には264の品種が出品されたが、そのうちの115品種は彼の作出による。1862年(文久2)の関根雲停(うんてい)の写生図が残るので、幕末には渡来していたとみられるが、営利栽培は大正以降である。

[湯浅浩史 2019年10月18日]


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改訂新版 世界大百科事典 「スイートピー」の意味・わかりやすい解説

スイートピー
sweet pea
Lathyrus odoratus L.

芳香のあるエンドウに似た花をつけるマメ科のつる性一年草。ジャコウエンドウ,ジャコウレンリソウの和名がある。原産地はシチリア島。茎は有翼で葉は互生し,小葉は2枚で,その先は巻きひげとなって他物にからみつく。葉腋(ようえき)から出る花梗に3~5輪の大型の蝶形花を総状につける。花色は白,ピンク,紅,オレンジ,紫,青紫色,栗色など多数の品種がある。1695年イタリアの宣教師に記載されて以来,ヨーロッパとくにイギリスで改良が進み,大輪の夏咲きスペンサー系が作出された。その後アメリカで1906年に冬咲きスペンサーが作出されて温室栽培種となったが,1948年アメリカでカスバートソンF.G.Cusbertsonが夏咲系と冬咲系の交配により春咲種を作出し,これはカスバートソン系と称され,露地温室兼用,切花用種とひろく栽培されるようになった。さらに改良されたものには,矮性(わいせい)大輪種や小輪種があり,鉢作りやプランターにも適するものが作出されている。香水の原料にも利用される。種まきは10月上旬。種子には硬実があるので,吸水しないものは種皮に傷をつけてからまく。直まきしてもよいが,小鉢で育苗したものを植え替えるほうが望ましい。日当りよく排水のよい深い土によく育ち,曇雨天の多い地方では落蕾(らくらい)現象がはげしい。土の酸性が強いと育ちが悪いので,1m2に100~150gの消石灰を混入するとよい。温室栽培では巻きひげを摘みとり,つるを巻き戻して育てるが,鉢栽培では行灯仕立てとする。花言葉は〈出発〉または〈微妙な楽しみ〉。
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百科事典マイペディア 「スイートピー」の意味・わかりやすい解説

スイートピー

ジャコウレンリソウとも。シチリア原産のマメ科の一年生つる草。茎は1〜2mの高さになり,葉は羽状複葉だが,小葉は最下部の1対を残して他は巻きひげとなる。葉腋から出る長い花柄の先に2〜5輪,改良種では十数輪の芳香のある大きな蝶(ちょう)形花がつく。多くの園芸品種があり,花色は紅,ピンク,白,だいだい,青,紫等。園芸的に冬咲系と夏咲系に分けられ,温室用切花栽培には前者を9月にまき,露地用には後者を10月にまく。両者の交雑による春咲系や,花壇,鉢植に適する矮性(わいせい)系もできている。
→関連項目レンリソウ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スイートピー」の意味・わかりやすい解説

スイートピー
Lathyrus odoratus; sweet pea

マメ科の一,二年草でシチリア島原産。温室で大量に栽培され,切り花として賞用される。茎は緑色で軟らかく両側に翼がある。羽状複葉であるが,1対だけが小葉で残りは先端とともに巻きひげに変っている。茎は長さ 2mにも達し,この巻きひげに支えられて他物によじのぼる。春から初夏にかけて,葉腋から長い花柄を出し,総状に2~3個の大型5弁の蝶形花をつける。花は芳香があり,美しく,色は白,淡紅,紅紫,青などいろいろある。 18世紀以降,ヨーロッパやアメリカで改良が進められ早咲き,夏咲き,温室種,鉢植用矮性種など品種はきわめて多い。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「スイートピー」の解説

スイートピー[花卉類]
すいーとぴー

中国地方、岡山県の地域ブランド。
主に岡山平野で栽培されている。2008(平成20)年の出荷量は全国第2位で、全国シェアの約12%を占める。

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