他地域にはない特徴や違いを売り物にしている銘柄(ブランド)の総称。特産品、工芸品、郷土料理、ご当地グルメ、観光地、史跡・景勝地、景観、祭、文化財、音楽、キャラクターなど対象は幅広く、地域ブランドを核に、地域振興や町おこし、集客・観光客増などに取り組むケースが多い。広義には、「横濱(よこはま)中華街」「道後(どうご)温泉」「関(せき)さば」など地名にものやサービスを組み合わせて使われる場合が多いが、世界遺産となった「富士山」「知床(しれとこ)」など地名そのものが地域ブランド力をもつ場合もある。狭義には、特許庁の地域団体商標や農林水産省の地理的表示保護制度、もしくはそれらに登録されたものをさす。
2000年代に入って、全国各地でご当地グルメを地域ブランドとして町おこしに取り組む事例が増え、2006年(平成18)からは毎年、ご当地グルメを一堂に集めて人気投票する「B-1グランプリ」が開かれている。同じころ、滋賀県彦根(ひこね)市の「ひこにゃん」、熊本県の「くまモン」といった、いわゆるご当地キャラも地域ブランドとして人気を集めた。特許庁は2006年の改正商標法施行で、特産品や工芸品などを地名と組み合わせた地域ブランドを地域団体商標として登録できる制度を設けた。それまで特産品の登録は「夕張(ゆうばり)メロン」など数件しかなかったが、すでに申請団体がそのブランド名を使っており、隣接都道府県で知られていれば登録条件を満たすこととなった。無関係な企業などが許可なく地域団体商標を使った場合は、損害賠償や事業の差し止めを請求できる。2014年8月からは商工会、商工会議所、NPO法人、外国法人なども地域団体商標を登録できるよう規制緩和し、2015年8月26日時点で登録された地域団体商標は591件に達している。
中小企業庁は、名産品や工芸品を海外に売り込む 「JAPANブランド育成支援事業」を2004年に開始した。農林水産省は2015年6月の地理的表示法(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)の施行を受け、「市田柿(いちだがき)」「鹿児島黒酢」「三輪素麺(みわそうめん)」など産地と結びついた農産品をGIブランド(地域ブランド)として国が認定し、不正使用を取り締まる制度を始めた。しかし省庁がそれぞれに地域ブランドの登録・振興策を進めるのは縦割り行政との批判があるほか、ヨーロッパ連合からは「日本の制度は厳格さに欠ける」との不満がでている。一方で「青森りんご」「北海道」等の地域ブランドがアジア諸国で使われるなど、国境を越えた権利侵害が相次いでおり、政府は監視を強めている。
[編集部 2015年12月14日]
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