スタッフ・ディベロップメント(読み)すたっふでぃべろっぷめんと(英語表記)staff development

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スタッフ・ディベロップメント
すたっふでぃべろっぷめんと
staff development

大学の管理運営、教育や研究の支援までを含めた質の向上を図るため、事務職員や技術職員などを対象に行われる、職能開発の組織的な取組みの総称。略称SD。スタッフは各部署を受けもつ職員をさし、ディベロップメント能力開発を意味する。日本の高等教育におけるSDについては、2005年(平成17)の中央教育審議会答申で、SDなどの取組みが今後の重要な課題であると提言された。2008年の答申「学士課程教育の構築に向けて」では、イギリスなどでスタッフに教員を含め、大学の教職員全員の職能改善の取組みをSDと称している解釈に言及し、これとは区別して、ここでは大学教員を対象とするものはファカルティ・ディベロップメントFD)とし、職員の職能開発活動に限定してSDの名称を用いることがつけ加えられている。それ以来、大学の教員と職員を対象とする取組みは、それぞれ明確に区別されるようになっている。

 大学職員は教員の教育研究活動上で重要な役割を担っているものの、教員一人当りの職員数は徐々に減少する傾向にある。今後の大学職員は高度化、複雑化する大学問題に対応する複数の業務領域で知見を養う必要性があると同時に、学生生活支援ソーシャルワーカーや留学生の受入れなどに関する専門業務など、従来にない区分の能力までが求められている。このような大学職員の能力向上の要請にこたえるため、国と大学、地域の大学間などでは、個別大学の枠を超えた職能開発プログラムの実施や、大学間のネットワークの拠点づくりなどが急がれている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例