スタージ・ウェーバー症候群

六訂版 家庭医学大全科 の解説

スタージ・ウェーバー症候群
(子どもの病気)

 スタージ・ウェーバー症候群は母斑症のひとつで、発生頻度は約1万人に1人と考えられています。遺伝的素因は証明されていません。

 生まれつき、顔の皮膚と脳軟膜(のうなんまく)、眼内の脈絡膜(みゃくらくまく)という部位血管腫(けっかんしゅ)を生じる病気です。実際にこれらすべての症状がみられることは多くありません。皮膚の血管腫による赤あざは最も頻度の高い症状で、片側性に顔面上半分にしばしばみられます。また、脳軟膜の血管腫の影響で、けいれん発作や麻痺(まひ)、知能低下などの症状がみられることがあります。

 脈絡膜の血管腫は乳幼児期から眼の内部の圧力眼圧)を上昇させるため、眼球が大きくなります(牛眼(ぎゅうがん))。時には失明に至ることがあり、注意が必要です。

 早期にけいれん発作に対する投薬と眼圧のコントロールを行います。重症の場合、手術による治療が選択されることもあります。また、顔の赤あざにはレーザーによる治療が行われています。通常、命に関わるような問題は多くありません。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

スタージ=ウェーバー症候群
スタージ=ウェーバーしょうこうぐん
Sturge-Weber syndrome

脳の静脈系奇形の一つ。異常な静脈と毛細血管 (血管腫) が脳回表面の脳軟膜に増殖して,ここに石灰が沈着する疾患で,この病変はまわりの石灰質にも起り,脳は限局性に萎縮する。この脳の病変とともに,片側の顔面または頭皮に血管母斑が生じるため,この病気は大脳顔面血管腫症とも呼ばれる。幼児から,意識障害を伴わない単純部分発作であるジャクソンけいれんがあるほか,知能障害,母斑と反対側の片麻痺視野欠損などのみられることが多い。また,母斑と同側の目に牛眼や緑内障のみられることもある。治療は抗けいれん剤を投与し,それでけいれんが抑制できないときは,脳の異常部分の切除手術を行うこともある。 W.スタージ (1850~1919) ,F.ウェーバー (1863~?) はともにイギリスの医師。

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家庭医学館 の解説

すたーじうぇーばーしょうこうぐん【スタージ・ウェーバー症候群 Sturge-Weber Syndrome】

[どんな病気か]
 頭蓋(ずがい)の中に血管腫(けっかんしゅ)があるとさまざまの神経症状が現われますが、とくに、①顔面に血管腫ができる、②目の脈絡膜(みゃくらくまく)に血管腫ができ緑内障(りょくないしょう)になる、③脳内に血管腫ができて神経症状が現われる、の3症状があるものをこの病名で呼びます。
 顔面に血管腫がある場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。
[治療]
 てんかん発作(ほっさ)、まひ、精神発達遅滞などがおこります。薬物治療によって、けいれん発作を抑えます。また、眼圧を検査するため、定期的な眼科検診も必要です。

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