眼圧(読み)がんあつ(英語表記)intraocular pressure

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

眼圧
がんあつ
intraocular pressure

眼球壁に包まれた眼球の内圧をいう。正常眼圧は大気圧より高く平均 14~16mmHgで,その上限は 20mmHgである。眼圧は眼房水と密接な関係がある。この眼房水と呼ばれる液体は主として毛様体から分泌され,瞳孔を通過して前房隅角という部分を通って目の外に流れ出る。この分泌と流出が平衡しているときには,眼圧はほぼ一定であるが,バランスがくずれると変化が生じる。眼圧の上昇した状態を緑内障,下降している状態を眼球低張という。眼圧の計測は,眼になんらかの力を加えて,その変形量との関係を測定することによって行われる。

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百科事典マイペディアの解説

眼圧【がんあつ】

眼球は常に球形を維持するために一定の内圧を保っている。これを眼内圧または眼圧という。点眼麻酔薬を用いて眼球を加圧し,その応力を測定する圧入眼圧計圧平眼圧計が一般に用いられているが,現在角膜の一定面積を圧平する時間から測定するノンコンタクトトノメーターなども用いられ,さらに新しい眼圧計も開発されつつある。正常眼では10〜21mmHgである。眼圧の異常に高いもの(高眼圧)は緑内障を,異常に低いもの(低眼圧)は眼球低張をきたす。→

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世界大百科事典 第2版の解説

がんあつ【眼圧 intraocular pressure】

眼球の内圧であり,〈眼内圧〉ともいい,またIOPとも略される。眼圧の正常範囲は10~21mmHgとされ,その平均眼圧は15mmHg前後である。眼球の形は,眼球壁の張力と,硝子体と房水(角膜と水晶体の間の眼房を満たす液体)のバランスで維持されている。このうち硝子体の大きさはほぼ一定しているため,房水の量の増減が主として眼圧を決定することになる。房水aqueous humorは,細胞やタンパク質をほとんど含まない透明な液体で,毛様体上皮で限外ろ過能動輸送により産生され,瞳孔を通過し,大部分は前房隅角部(眼房内の角膜と虹彩が接するところ)の繊維柱帯,シュレム管Schlemm tubeを経て眼球外に排出される。

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大辞林 第三版の解説

がんあつ【眼圧】

眼球が球形を維持するための一定の内圧。主に眼球内の水様液の増減によって変化する。眼球壁の緊張度を測定することによって推定する。眼内圧。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

眼圧
がんあつ

眼球は一種の精密なボール型カメラであり、正しい影像を得るためには一定の硬さが必要で、この硬さを眼圧または眼内圧とよんでいる。日本人の正常では平均14.5ミリメートル水銀柱の圧があり、これが21ミリメートルより高いものや10ミリメートル以下のものは異常とされる。たとえば、眼圧が高くなる高眼圧緑内障では視野狭窄(きょうさく)、視力障害が起こり、特発性網脈絡膜剥離(はくり)では顕著に眼圧が低下し、視覚の障害を引き起こす。
 正常眼圧を一定に支えている主役は眼房水(がんぼうすい)の循環である。眼房水は毛様体から一定の速度で分泌され、後房から瞳孔(どうこう)を経て前房に至り、隅角壁を通り抜けてシュレム管に入り、房水静脈を経て上強膜静脈系に流れ去る。この循環系のどこかに流れを遮るものが出現したり、房水の産生速度が高まったりすると、眼圧は上昇するし、逆の状況下では眼圧は下降する。
 眼圧の値は眼圧計によって求められる。眼圧が著しく高かったり低かったりすれば、指先で眼球を瞼(まぶた)の上から押すことで感じ取れるが、不正確である。国際的な規準とされる正確な方法は、専門医が使用するゴールドマン圧平眼圧計によるものである。これは平面小プリズムを眼球(角膜)に押し付け、押し付けられた部分の面積が一定になったとき、平面にかかっている圧力から眼圧を知る方法で、圧力変化を電気的に記録させる電気眼圧計もある。現在、角膜・結膜感染を防ぎ、より安全であることから非接触型圧平眼圧計が普及している。これは、小孔から空気ジェットを角膜に吹き付け、それによって変形した角膜からの赤外線反射をとらえて測定するもので、麻酔は不要であり、目にも触れないので便利であるが、測定値はやや不安定である。なお、眼圧は、全身の血圧とは直接的な関係はなく、高血圧があっても眼圧は正常である。
 眼圧には生理的な変動がある。姿勢によっても異なるが、通常、朝は数ミリメートル以内の上昇があり、午後からしだいに低くなる「日内変動」がある。緑内障では夜間かなり上昇するものがあるので、正確には24時間の連続測定を要するが、測定時間帯を変えて数回測定することで代用されている。
 近年、個人差のある角膜の厚さやその生物物理学的性質によって測定値が影響を受ける事実が明らかとなり、それらの影響を避ける方法が考案されているが、いまだ国際的な規準となるレベルに達していない。[岩田和雄]

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