スヘンデル(その他表記)Schendel, Arthur (-François-Émile) van

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スヘンデル」の意味・わかりやすい解説

スヘンデル
Schendel, Arthur (-François-Émile) van

[生]1874.3.5. バタビア(現ジャカルタ)
[没]1946.9.11. アムステルダム
オランダ小説家。新ロマン派の代表者。中学校の英語教師の資格をとり,一時イギリス教職につき,その後作家生活に入る。イタリアに数年間滞在。オランダ文壇の自然主義的傾向のなかで,中世イタリアを舞台に青年貴族の運命を扱った処女作『ドロゴン』 Drogon (1896) で一躍認められた。次作『放浪者の恋』 Een Zwerver verliefd (1904) や『迷える放浪者』 Een Zwerver verdwaald (07) も同じように中世を描いた作品。その後,オランダ人の生活および運命を克明に追求した一連の小説を発表。そのうち『3本マストのヨハンナ・マリア号』 Het Fregatschip Johanna Maria (30) は,汽船が登場した時代の帆船の運命を描いたもので,傑作と認められる。ほかに,『水夫』 De Waterman (33) ,『オランダのドラマ』 Een Hollandsch drama (35) などがあり,晩年には幻想的な作品を書いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スヘンデル」の意味・わかりやすい解説

スヘンデル
すへんでる
Arthur François Émile van Schendel
(1874―1946)

オランダの小説家。新ロマン主義第一人者。ジャカルタ生まれ。英語教師としてイギリスやイタリアに住む。中世イタリアを舞台に青年貴族の運命を描いたデビュー作『ドロゴン』(1896)、『恋をしたさすらい人』(1904)、『迷えるさすらい人』(1907)など、いずれも中世を描いた前期のロマンティックな作品から、後期のオランダを舞台とする小説、19世紀の小市民的精神に貫かれた生活を描く『オランダの悲劇』(1935)、『裕福な男』(1936)、『薄明の島』(1937)に至るまで一貫するテーマは宿命観である。『フリゲート艦ヨハンナ・マリヤ』(1930)では、軍艦一生を描いた。

[近藤紀子]

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