知恵蔵 「スワッティング」の解説
スワッティング
虚偽の緊急通報を「スワッティング」と呼ぶようになったのは、2000年代初めごろに北米から。米連邦捜査局(FBI)が08年に初めて「スワッティング」という言葉で市民に周知した。米国・カリフォルニア州政府は、スワッティングの実行者に対し、最大10,000ドルの出動費用を負担させると新たな法律を制定、14年から施行されている。
北米ではスワッティングによるさまざまな被害が発生している。著名人が標的となった例では、13年に米国で12歳の少年が、俳優のアシュトン・カッチャーや歌手のジャスティン・ビーバーの自宅に「人質がいる」「銃を振り回している人がいる」などの虚偽の通報をした。アシュトンの家へは実際に警察が出動し、被害額は税金1万ドル(約80万円)と試算された。
17年には米国で、虚偽の通報で警察が出動し、自宅にいた男性を誤って射殺する事件が起こった。この事件の容疑者は、15年にもテレビ局に爆破犯を装った脅迫をして警察を出動させ、有罪判決を受けていた。容疑者はオンラインのゲームコミュニティーで死亡した男性と知り合っていた。
カナダでは14年までにオタワ、オンタリオ、ケベックの各州で、複数の10代の少年による虚偽の通報が相次いだ。ショッピングセンター、民家、学校などが爆破予告の標的となり、実際に避難させられるなどの混乱を招いた。カナダの州警察が捜査に当たり、少年の家から通信機器、データ送信、銃器、弾薬を押収した。
(若林朋子 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報