都市住民の郊外への移動といういわゆるスプロール現象と,さらには自家用車の普及に伴って,第2次大戦後のアメリカで発展した集合型小売商店街。都市近郊に広大な土地を確保し,ドライブイン・シアターなどの施設を設け,百貨店やスーパーマーケットなど大規模小売店を核とし,これにチェーン・ストア,専門店,一般小売店などを集め,ワンストップ・ショッピングone-stop-shopping(1店舗に立ち寄るだけで,必要な商品の購入がすべて可能な買物)が可能なように計画的に形成された大規模な商店街である。大規模なもの(郊外型),中規模なもの(準郊外型),小規模なもの(近隣型)に分けられるが,郊外型では買回り品や専門品,準郊外型では買回り品,近隣型では最寄り品の品ぞろえが中心となる。このショッピング・センターの出現により,都市を離れて郊外に住むようになった消費者は,日常品は近所で済ませ買回り品や専門品はショッピング・センターに行き買物の楽しみを味わうという習慣が定着した。
日本では本来は目抜通りの商店街を意味し,大資本の攻勢に対抗するため,一般独立小売商が集合して駅ビルや地下街に近代的な街づくりを行ったり共同店舗を建設したのをショッピング・センターと称した。しかしアメリカの影響が及ぶようになると,順次百貨店,スーパーなどビッグ・ストアが核となって開発を進め,これに専門店や一般小売商が入居するというアメリカと同様の形態が発展した。これは,日本でも都市住民の郊外移住が進みマイカー時代が到来したためであり,第2次大戦後の流通革新の結果生じた新しい商店街の形成である。
執筆者:鳥羽 欽一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
SCと略示することもある。流通近代化を目ざして多数の小売店が計画的に形成する集合商店街のこと。第二次世界大戦後のアメリカで、都市の郊外化に伴う自家用車による購買行動に適合するため、ワンストップ・ショッピング(1回の駐車で必要な買い物をすべて済ませる)を可能にさせる意図から始まった。日本に導入された初期には、大規模小売店の進出に対抗するため、小規模店が共同して駅ビルや地下街を利用するものが多かったが、漸次、大規模店を核とし、各種専門店や付帯施設を計画的に配置し、総合的サービスを提供するものへと変わってきている。交通の便が最重要条件であることに変わりはない。
ショッピング・センターには、その商圏(顧客吸収範囲)に応じて、主として専門品と買回り品を扱う大規模都心型、買回り品を中心にする大・中規模郊外型、日用品を主体にする小規模近隣型の3種がある。住宅の郊外移転と生活水準の向上は、日用品を近所で買い、買回り品や専門品を楽しみながら時間をかけて買い求めるという購買慣習を生み、これが新しい商店街を生み出すことになった。
[森本三男]
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