スーパーKEKB(読み)スーパーケックビー(その他表記)SuperKEKB

デジタル大辞泉 「スーパーKEKB」の意味・読み・例文・類語

スーパー‐ケックビー(SuperKEKB)

高エネルギー加速器研究機構KEK)の衝突型加速器通称。平成22年(2010)に運用停止したBファクトリー(KEKB)の約40倍の衝突性能ルミノシティー)を実現するため、電子陽電子ビーム断面積を約60ナノメートルまで絞り込んだナノビーム方式を採用。標準理論で説明できない現象解明や新粒子の探索を目標としている。平成30年(2018)3月、本格稼働を開始。スーパーBファクトリー

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共同通信ニュース用語解説 「スーパーKEKB」の解説

スーパーKEKB

茨城県つくば市にある全周3キロの地下トンネル内に、高エネルギー加速器研究機構が設置した新型加速器。リング状に平行した2本の真空パイプの中で、電子と陽電子のビームをそれぞれ反対回りに走らせる。光速近くまで加速してパイプが交差する一点で電子と陽電子を正面衝突させ、生み出される別の素粒子の振る舞いなどを調べる。旧型加速器「KEKB」を改良し、衝突の頻度を高めて得られるデータの量を増やした。衝突の様子を精密に捉える測定器を備えて性能を大幅に向上させた。

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知恵蔵mini 「スーパーKEKB」の解説

スーパーKEKB

茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)が開発した素粒子物理の実験施設で、日本で最大の衝突型加速器。高エネルギーの電子と陽電子を衝突させることで宇宙誕生直後に似た環境を再現し、宇宙に物質が誕生した経緯を解明するために作られた。地下約10メートル、一周約3キロメートルの円形トンネル内に設置されており、1999年から2010年まで稼働した前身の「KEKB」の次世代型として18年3月に稼働を開始した。同年4月26日、同機構は光の速度と同等まで加速した電子と陽電子の衝突に成功したと発表。前身のKEKBを使って検証され、08年のノーベル物理学賞につながった素粒子物理学の基礎理論「小林・益川理論」では説明しきれなかった宇宙誕生時の謎の解明につながることが期待されている。

(2018-5-10)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スーパーKEKB」の意味・わかりやすい解説

スーパーKEKB
すーぱーけっくびー

加速器研究施設

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