日本大百科全書(ニッポニカ) 「共通基盤研究施設」の意味・わかりやすい解説
共通基盤研究施設
きょうつうきばんけんきゅうしせつ
国立大学法人法に基づいて設置された、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK(ケック))傘下の国立の研究施設。1971年(昭和46)にKEK(当時の名称は高エネルギー物理学研究所)が創設され、さらに発展的に1997年(平成9)に当研究施設が設置された。所在地は茨城県つくば市。
この研究施設では、大型加速器を用いた多様な研究計画を円滑に遂行するための高度な技術支援を行っている。放射線防護、環境保全、コンピュータ、超伝導・低温技術、精密加工技術などの基盤的研究を行うとともに、先端的な関連分野の開発研究も行っている。
また、放射線科学センター、計算科学センター、超伝導低温工学センター、機械工学センターの四つのセンターがあり、研究支援の大きな柱となっている。放射線科学センターは、機構全体にわたる放射線・化学環境安全にかかわる業務を統括し、加速器の放射線防護にかかわる研究を推進している。超伝導低温工学センターでは、高エネルギー加速器や粒子検出器などで必要とされる超伝導磁石の開発研究、マイナス269℃の超流動ヘリウムを用いた冷却技術や冷却機器など各種の極低温機器の開発研究を進めている。さらに、極低温下での電磁気特性や機械特性などの物性に関する基礎的な研究にも積極的に取り組んでいる。機械工学センターは実験施設のメカトロニクスやエンジニアリングを支援している。
[馬場錬成・玉村 治 2018年7月20日]