ズイムシ

百科事典マイペディア 「ズイムシ」の意味・わかりやすい解説

ズイムシ

メイチュウとも。鱗翅(りんし)目メイガ科のニカメイガサンカメイガイッテンオオメイガ)の幼虫の俗称。前者は年2回(寒冷地では1回),後者は年3回発生するのでこの名がある。ともに体長約20mm。イネの主要害虫。アジアの稲作地方に広く分布するが,前者はほぼ日本全土,後者はやや南にかたより,いわゆる本州南岸線以南に分布する。イネ科植物の茎に食い入り,発育を阻害し,白穂にする。根ぎわの茎中に潜んで幼虫で越冬。以前は日本の稲作の最大の害虫として恐れられていたが,最近は農薬の発達により被害が激減した。ズイムシという場合,時にアワノメイガの幼虫も含めることがある。→メイガ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ズイムシ」の意味・わかりやすい解説

ズイムシ
ずいむし / 髄虫

昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科の昆虫で、草や木の茎や枝の中(髄)に潜入する幼虫の総称であるが、一般にイネ、トウモロコシキビガママコモなどの茎に食入するニカメイガの幼虫をさす。日本の稲作にとっては、ウンカとともに、もっとも被害の大きい害虫の一つであり、イネノズイムシともよばれる。

[井上 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ズイムシ」の意味・わかりやすい解説

ズイムシ(髄虫)
ズイムシ
rice stem borer

鱗翅目メイガ科に属するニカメイガの幼虫。イネの大害虫として著名で,イネの茎の中 (髄) で食害するのでこの名がある。孵化したばかりの幼虫が茎と葉鞘の間から茎内にもぐり込み,生育するにつれて下方に食べ進み,茎の下方で体長約 20mmの成熟幼虫となる。淡褐色イモムシで,褐色の縦条が5本入っている。ニカメイチュウともいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「ズイムシ」の意味・わかりやすい解説

ズイムシ

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世界大百科事典(旧版)内のズイムシの言及

【ガ(蛾)】より

…(2)茎に食入するもの アワノメイガ(トウモロコシ,キビ,アワなど),イッテンオオメイガ(イネ),ニカメイガ(イネ,マコモ,ヨシなど)。ニカメイガの幼虫はズイムシあるいはメイチュウと呼ばれ,日本で稲作の大害虫である。(3)土中に潜んでいて葉や茎を食べるもの いわゆる根切虫と呼ばれるもので,タマナヤガ,カブラヤガ,ヨトウガなどは,花卉,野菜の害虫である。…

【ニカメイガ(二化螟蛾)】より

…毎年全国的に発生し,水稲の被害がもっとも大きな害虫である。幼虫は,イネノズイムシ,ズイムシ,ニカメイチュウ,あるいは単にメイチュウとも呼ばれている。イネの栽培期とこのガの発生周期はきわめて密接につながっており,イネを早期に栽培すれば,成虫の発生も早くなる。…

【メイガ(螟蛾)】より

…鱗翅目メイガ科Pyralidaeの昆虫の総称。昔から日本でイネの大害虫として知られているニカメイガの幼虫をメイチュウ(螟虫)あるいはズイムシ(髄虫)と呼んでいたので,この所属する科をメイガ(螟虫の蛾)と称するようになった。種数は,鱗翅目のなかで3番目に多い大きな科で,日本には600種以上が知られている。…

※「ズイムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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