セノイ族(読み)セノイぞく(その他表記)Senoi

改訂新版 世界大百科事典 「セノイ族」の意味・わかりやすい解説

セノイ族 (セノイぞく)
Senoi

東南アジア,マレー半島中南部のジャングル地帯に住む山地民。しばしばサカイ族Sakaiと呼ばれるが,サカイとは奴隷の意で,マレー人による呼名である。人種上はスリランカベッダ族に似ていることからベッドイドに入る。同じくマレー半島の山地民であるセマン族ネグリト)よりは身長が高いが,男子の平均身長は152cmで,毛髪は波状毛ないしは巻毛,やや長頭である。セマン族などとの混血もみられる。アウストロアジア語族に属するモン・クメール系の言語を話す。数多くの部族に分かれて生活しており,それぞれにセマイ族,プレ族,テミアル族などと呼ばれている。生業は焼畑農業が中心であるが,しばしば移動して狩猟を行う部族や,マレー人と同様にゴム園,果樹園の労働を行う部族もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セノイ族」の意味・わかりやすい解説

セノイ族
セノイぞく
Senoi

おもにマレー半島の中央部に居住するほか,スマトラ島にも居住する先住民。サカイ族 Sakaiともいう。褐色皮膚,低身長の形質的特色をもち,ニグリトに分類される。言語はオーストロアジア語族に属する。定住性の少ない狩猟採集民で,数家族ないし十数家族が一群となって熱帯原始林を放浪するが,農耕を行なう者も増えた。宗教の面ではシャーマニズムがみられる。(→オラン・アスリ

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世界大百科事典(旧版)内のセノイ族の言及

【オーストラロイド大人種】より

…四大人種の一つ。波状毛,多毛,顔の彫りの深さのほか,時たまブロンドの現れることなどコーカソイド大人種との興味深い類似性がある。しかし皮膚の色は濃褐色で,長頭で脳容量が小さく,眉上弓が発達し,広鼻で鼻根部がくぼみ,唇が膨れている点など,原始的な特徴をもつ。アボリジニーとセイロンのベッダがこの大人種に属する。氷河時代末期にはオセアニアだけでなく,アフリカの北部や南部にも類似の頭骨特徴をもつ人々がいたようで,これらもオーストラロイドと呼ばれる。…

※「セノイ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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