日本大百科全書(ニッポニカ) 「センニチコウ」の意味・わかりやすい解説
センニチコウ
せんにちこう / 千日紅
[学] Gomphrena globosa L.
ヒユ科(APG分類:ヒユ科)の一年草。熱帯アメリカ原産。センニチソウともいい、属名のゴンフレナでよばれることもある。高さ50センチメートルに達し、よく分枝して長楕円(ちょうだえん)形の葉を対生する。各枝の先端に球状の頭花をつける。小花は花弁を欠くが、2枚の包葉は光沢を帯びた紫紅色になり、退色せず長期間色を保つので千日紅の名がある。ほかに桃色や白色の品種もある。種子は4~5月に播(ま)き、夏の花壇や切り花あるいはドライ・フラワーにする。近縁種に橙黄(とうこう)色の頭花をつけるアメリカセンニチコウがある。
[伊藤秋夫 2021年1月21日]
文化史
千日紅は中国名で、日本には中国より渡来したが、その年代を『花壇地錦抄附録(かだんちきんしょうふろく)』(1733)は天和(てんな)から貞享(じょうきょう)(1681~1688)のころとする。書物の初見は『花壇地錦抄』(1695)で、千日向と綴(つづ)られ、花を茎とともに切って、陰干しすれば、冬の立花や草とめ、投入れなどに用いられ、色変わりしないので重宝すると載る。日本のドライ・フラワーのはしりである。花が長く変わらないのは、ケイ酸が多いからだとされる。
[湯浅浩史 2021年1月21日]