ゾシチェンコ(読み)ぞしちぇんこ(その他表記)Михаил Михайлович Зощенко/Mihail Mihaylovich Zoshchenko

精選版 日本国語大辞典 「ゾシチェンコ」の意味・読み・例文・類語

ゾシチェンコ

  1. ( Mihail Mihajlovič Zoščjenko ミハイル=ミハイロビチ━ ) ソ連小説家。社会風刺特色とし、「ナザール=イリイチ=シネブリューホフ氏の物語」などを書く一方、「ケレンスキー」などの伝記小説を残す。(一八九五‐一九五八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾシチェンコ」の意味・わかりやすい解説

ゾシチェンコ
ぞしちぇんこ
Михаил Михайлович Зощенко/Mihail Mihaylovich Zoshchenko
(1895―1958)

ソ連の小説家。画家を父にウクライナポルタバ市に生まれる。ペテルブルグ大学法科に在学中、志願兵として第一次世界大戦に参加し負傷。1918年に赤軍に参加、のち転々と職をかえる。1921年から短編を発表し、文学団体「セラピオン兄弟」に入る。『シネブリューホフ物語』(1922)でデビュー。主人公の口を借りて小市民根性や俗物根性の残滓(ざんし)を痛烈に風刺し、風刺作家として名声をはせた。1920~1930年代は、時事風刺に筆を振るう一方、『ケレンスキー』(1937)、『タラス・シェフチェンコ』(1939)のような伝記小説も発表した。その後、風刺自伝小説『夜明け前』(1943)、ソ連社会のゆがみを批判した『猿の冒険』(1946)などのため、1946年にジダーノフ批判の対象となった。

草鹿外吉 2016年1月19日]

『草鹿外吉訳『シネブリューホフ物語』(『世界文学全集29』所収・1967・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゾシチェンコ」の意味・わかりやすい解説

ゾシチェンコ
Zoshchenko, Mikhail Mikhailovich

[生]1895.8.10. ポルタバ
[没]1958.7.22. レニングラード
ソ連の小説家。画家の家庭に生れ,ペテルブルグ大学に入学したが,第1次世界大戦の開始とともに中退して前線におもむいた。革命後は一時,赤軍に入隊したが,やがて「同伴者作家」グループ「セラピオン兄弟」に加わり,『ナザール・イリイチ・シネブリューホフ物語』 Rasskazy Nazara Il'icha,gospodina Sinebryukhova (1922) で文名を高めた。ソ連社会の暗黒面,官僚主義に風刺の矢を向け,グロテスクとユーモアに満ちた作品を多数書いたが,その鋭い風刺のため異端視され続けた。第2次大戦後発表した『猿の冒険』 Priklyucheniya obez'yany (46) がジダーノフ批判の対象となり,作家同盟から除名されたが,スターリン批判後は再評価されるようになった。

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