日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイワンメナダ」の意味・わかりやすい解説
タイワンメナダ
たいわんめなだ / 台湾目奈陀
luespot mullet
[学] Moolgarda seheli
硬骨魚綱ボラ目ボラ科に属する海水魚。静岡県以南の日本各地、太平洋、インド洋に広く分布する。体は少し太い。主上顎(じょうがく)骨の後端は口を閉じたときに露出しないこと、胸びれの基底上端に斑点(はんてん)があること、体側中央部の鱗(うろこ)は後縁に膜があり、棘(とげ)がないことなどの特徴でナンヨウボラに似るが、脂瞼(しけん)は未発達で、虹彩を覆わないことで区別できる。胸びれは黄色みを帯び、その基底の上端に暗青色斑点がある。第2背びれと臀(しり)びれの前部は伸長する。尾びれの後縁は深く湾入する。中型のボラで、体長は60センチメートルほどになる。沿岸の浅いところ、ラグーン、河口汽水域などに生息し、河川の淡水域にも入る。雑食性で、おもに海底のデトリタス（生物の破片、死骸(がい)、排泄(はいせつ)物などの粒状物およびそれらの分解物）、藻類などを食べる。刺網などさまざまな網で獲(と)れ、東南アジア、オーストラリアでは食用にする。
［尼岡邦夫］
