世界遺産詳解 「タスマニア原生地域」の解説 タスマニアげんせいちいき【タスマニア原生地域】 1982年に登録、1989年に登録内容が変更されたオーストラリアの世界遺産(複合遺産)で、オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア島にある。タスマニア島は、かつてゴンドワナ大陸という巨大な大陸が分裂して南極とオーストラリア大陸が分かれたとき、オーストラリア大陸とは地続きだったが、その後の温暖化による海面上昇でオーストラリア大陸から分断されたため、ゴンドワナ大陸時代の動植物がそのまま残り、現在もそれらの動植物を当時のままの姿で見ることのできる、たいへん貴重な島である。その中のタスマニア原生地域は、ユーカリノキ、木生シダ、イトスギ、オオタスマニアスギ、ミナミブナなどが繁茂し、タスマニアデビルなどの固有の動物も見ることができる。また、セント・クレア湖など無数の氷河湖が点在する。さらに、内陸部には、3万1000年前から住んでいたタスマニア・アボリジニの住居跡や、岩壁画などのきわめて貴重な遺跡が残されている。このような、太古の面影を残す動植物が残存する大自然と、古代人類の生存した足跡を示す遺跡が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はTasmanian Wilderness 出典 講談社世界遺産詳解について 情報