タスマニアデビル(読み)たすまにあでびる(英語表記)Tasmanian devil

翻訳|Tasmanian devil

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タスマニアデビル」の意味・わかりやすい解説

タスマニアデビル
たすまにあでびる
Tasmanian devil
[学] Sarcophilus harrisi

哺乳(ほにゅう)綱有袋目フクロネコ科の動物。フクログマフクロアナグマともいう。タスマニア島だけに分布する。頭胴長47~83センチメートル、尾長22~30センチメートル、体重5.5~9キログラム。体は頑丈で頭は大きく、あごの筋肉は強力で歯も強い。吻(ふん)は短く幅広い。体の上毛は粗く、下毛は羊毛状である。体色は黒または暗い黒茶色で、のどに月輪状の白斑(はくはん)があるが、欠くものもある。後ろ足の第1指はない。雌の育児嚢(のう)は繁殖期だけに発達し、後方に開口する。乳頭は4個。夜行性で、川岸、海岸、谷間などの岩石地、あるいは森林、低木林などに単独で生活する。昼間は岩穴や木の株のうろ、石の下などに隠れている。種々の動物を捕食し、カエルザリガニ、魚などから、ヒツジニワトリまで食べる。1産1~4子。子の大きさは12ミリメートルで、目は閉じ、体には毛が生えていない。子は育児嚢で育てられる。寿命は7年ほどである。

[中里竜二]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タスマニアデビル」の意味・わかりやすい解説

タスマニアデビル
Sarcophilus ursinus; Tasmanian devil

有袋目フクロネコ科。体長 50~80cm,尾長 23~30cm,体重5~9kgで,小型のクマに似る。体は黒色で,喉に月の輪状の白色斑がある。有袋類中最も貪欲であるとされ,小動物を捕食するほか死肉も食べる。噛む力が強く,細い鉄棒などは曲げてしまうといわれる。夜行性。子は母親の育児嚢で5ヵ月ほど育てられる。タスマニア島に分布するが,近年その数が激減したといわれる。

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