改訂新版 世界大百科事典 「タスマニア島」の意味・わかりやすい解説
タスマニア[島]
Tasmania
オーストラリア大陸の南にある島。面積6万4400km2。キング島,フリンダーズ島などを含めてタスマニア州(面積6万7800km2,2006年人口48万)を構成する。州都はホバート。島の大半は山地,高原で,低地は北岸と南東岸に限られる。同国としては降水量が多く,年降水量800mm以上の地域が7割に達する。中央部の高地には氷河によってできた湖が多く,水力発電などに利用される。西部の山地ではスズ(レニソン・ベル),鉛・亜鉛・銀(ローズベリー),銅(マウント・ライエル),鉄鉱石(サビジ・リバー)などの鉱産資源が開発されている。産業としては,鉱業のほかに,水力発電を背景としたアルミニウム・亜鉛の精錬,豊かな森林資源を基盤とした林業および製紙,酪農・リンゴを代表とする農牧業に特色がある。国内の移出入先としてはビクトリア州,海外輸出先としては鉱産物を中心に日本と最も関係が深い。
1642年,オランダ人タスマンが来航し,ファン・ディーメンス・ラントと命名し,1798年にG.バスおよびM.フリンダーズが島であることを確認した。1803年イギリスの流刑地として入植が開始され,53年に流刑植民地としての歴史を閉じた。56年に責任内閣制を伴う自治植民地となり,名称もすでに1820年代から通用していたタスマニアに正式に改称した。1901年,連邦結成により州となった。
執筆者:谷内 達
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報