改訂新版 世界大百科事典 「タトン」の意味・わかりやすい解説
タトン
Thaton
ミャンマー南東部,モン州の都市。人口4万7000(1971)。タトン山を背後にし,マルタバン(モウタマ)湾に面する。市制施行は1887年。伝説によればこの町を築いたのはティーハヤーザで,その後59代の王がこの地を支配した。古くから南インドとの間に交流があったようで,インド,セイロンから伝えられたヒンドゥー教や小乗仏教が根を下ろし,モン族の都として栄えた。しかしマヌハ王治世の1057年にパガン朝アノーヤター王の攻撃を受け滅亡した。当時の都城を現市街の東,北,北西隅などに残る城壁と濠の痕跡から判断すると,東西の幅が狭く南北に長い方形をしており面積約3km2,周囲を六重の城壁で取り囲み,外濠と内濠とを張りめぐらせた堅固な城砦であったことがわかる。現在はモン州第2の都市として,産業,交通,交易,行政の上で重要な役割を果たしている。
執筆者:大野 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報