チャケー(その他表記)càkkê[タイ]

デジタル大辞泉 「チャケー」の意味・読み・例文・類語

チャケー(〈タイ〉càkhê)

タイチター撥弦はつげん楽器全長約130センチのスプーン形の箱胴に5本の短い脚があり、11本のフレットをもつ。絹弦2本と金属弦1本を張って、義甲ぎこうで奏する。

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改訂新版 世界大百科事典 「チャケー」の意味・わかりやすい解説

チャケー
càkkê[タイ]

タイのチター型の撥弦楽器。インドのビーナーから発展したと思われる。形がワニ(チョーラケーcōrākkê)に似ているところからこの名がついた。アユタヤ朝時代の初め(1357ころ)からタイの宮廷に取り入れられ,その後今日に至るまで独奏クルアンサーイマホーリー合奏などに広く用いられている。全長130cmほどの堅い木製の箱形胴に木または象牙製の五つの短い足がついている。3本の弦のうち2本が絹の巻線,1本が金属弦で,11個の固定したフレットがついている。右手人差指に5~7cmほどの円錐形の象牙の爪をひもで固く巻きつけて弾奏する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャケー」の意味・わかりやすい解説

チャケー
jakhe

タイの代表的撥弦楽器。独奏,合奏両用。全長約 140cm,高さ約 12cmのスプーン形で,高さ 8cmの足が頭部に4本と尾の下に1本ついている。象牙製の長さ5~6cmの義甲で弾き,形態的には日本,中国の琴類と同様のツィター属であるが,奏法はリュート属的。ヨーロッパではその形が鰐 (わに) に似ているところからクロコダイル・ハープと呼ぶが,その祖形はまさに鰐をかたどっており,唐時代の史書にも驃国 (ビルマ〈現ミャンマー〉東部) の楽器として「鰐琴」の名で記されている。インド起源のものがビルマに入ってマジョーンなどと呼ばれ,清朝の資料では「密穹総」と記される。これがビルマ,ペグー朝のときタライン人によって舟形胴に改められ,さらにクメールに入ってスプーン形になったと考えられる。カンボジアではタケーと呼ばれるが,チャケーはこの音訛であるとも,またチョロッケー (鰐) の音訳ともいわれている。

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百科事典マイペディア 「チャケー」の意味・わかりやすい解説

チャケー

タイのロング・ツィター属の撥弦楽器。3弦(絹糸弦2本と金属弦1本)を,右手に巻きつけた義爪ではじく。共鳴胴チーク材の薄板の箱(長さ130〜140cm)で,木または象牙製の5本の脚があり,11本のフレットをもつ。駒止めの所に小さな細い木片がはさんであり,サワリのついたビリビリという独特の音色がする。クルーアン・サーイマホーリーなどの合奏のほか独奏にも用いられる。チャケーは鰐の意。→ミジョーン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャケー」の意味・わかりやすい解説

チャケー
ちゃけー
jakhē
jackey

タイのチター属撥弦(はつげん)楽器。その名は胴の形が鰐(わに)(チョーラケー)に似ていたことに由来する。木製の胴は全長約130~140センチメートルで、裏に5本の脚がある。響板上の駒(こま)と11の固定フレットの上には3本の弦(ガット弦2、金属弦1)が張られ、四度、五度に調弦される。弦がつねに駒やフレットに触れるため、サワリのついた独特な音色がする。奏者は座って、左手で弦を押さえつつ右手人差し指に紐(ひも)でくくり付けた象牙(ぞうげ)か骨のプレクトラムで撥奏する。14世紀以来タイの宮廷に取り入れられ、独奏・合奏に広く使われてきたが、同種のものはカンボジアやビルマ(ミャンマー)にも存在する。

[川口明子]

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