翻訳|Khmer
オーストロアジア系の人種で、モン・クメール語族に属し、カンボジア語を話す民族。クマエもしくはカンプチアと自称し、現在のカンボジアを中心に居住する。揺籃(ようらん)の地はメコン川中流域といわれ、早くからインド文化を受容し、アンコール・ワットなどを建設したアンコール王朝の末裔(まつえい)にあたる。身長は平均で1.65メートル、皮膚は銅色を帯び、目の色は黒く、短頭で比較的頬(ほお)骨が出ており、毛髪が波状、筋肉質で均整がとれている。挨拶(あいさつ)は顔前での合掌、礼儀正しく、性質は温厚、篤実である。ほとんどが農業に従事し、水田、畑地を耕す。村落は冠水しない自然堤防上にあり、約200人から400人規模で集落をつくり、緩やかな血縁、地縁の共住地を形成する。日常生活は農作業カレンダーに従って営まれる。高床杭上(こうじょう)式の家屋に住み、衣服はサロン(腰巻)にブラウス(女性が着用)と簡素であるが、祭礼にはサンポット(サロンを両足の間からたくしあげ、後ろで結ぶ)という民族衣装を着ける。米飯が主食で、プラホック(魚の塩辛)を添える。人々は篤信的な上座部仏教徒であり、同時に土着の精霊信仰ネアクタも拝む。葬式は、近親者が剃髪(ていはつ)し、僧侶(そうりょ)の読経ののちに荼毘(だび)に付される。1975年からの民主カンボジア政権下において、こうした伝統的な社会が急進的な大改革により壊されたが、79年からのカンボジア人民共和国、そして93年の総選挙による立憲君主制(カンボジア王国)への移行を経て再生しつつある。
[石澤良昭]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…カンボジアのシエムリアップ市近郊を王都に,9世紀から1432年まで栄えた古代クメール王国。アンコールとは〈都城〉を意味する梵語ナガラのクメールなまりで,王都の後世の呼称である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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