クメール(読み)くめーる(その他表記)Khmer

翻訳|Khmer

デジタル大辞泉 「クメール」の意味・読み・例文・類語

クメール(Khmer)

カンボジアの主要民族。古くからメコン川中・下流域に分布、言語上はモン族とともにモン‐クメール語族を構成する。主に稲作農業を行い、ほとんどが仏教徒。6世紀に起こったクメール人王朝の真臘しんろうは、アンコールワットなどを造営

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「クメール」の意味・読み・例文・類語

クメール

  1. 〘 名詞 〙 ( Khmer ) カンボジアの主要民族。タイベトナム南部にも分布する。言語上はモン族とともに、モン‐クメール語族を構成する。九世紀から一三世紀にかけてアンコールワット、アンコール‐トムなどの造営を行ない、民族文化の最盛を誇った。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クメール」の意味・わかりやすい解説

クメール
くめーる
Khmer

オーストロアジア系の人種で、モン・クメール語族に属し、カンボジア語を話す民族。クマエもしくはカンプチアと自称し、現在のカンボジアを中心に居住する。揺籃(ようらん)の地はメコン川中流域といわれ、早くからインド文化を受容し、アンコール・ワットなどを建設したアンコール王朝の末裔(まつえい)にあたる。身長は平均で1.65メートル、皮膚は銅色を帯び、目の色は黒く、短頭で比較的頬(ほお)骨が出ており、毛髪が波状、筋肉質で均整がとれている。挨拶(あいさつ)は顔前での合掌、礼儀正しく、性質は温厚、篤実である。ほとんどが農業に従事し、水田、畑地を耕す。村落は冠水しない自然堤防上にあり、約200人から400人規模で集落をつくり、緩やかな血縁地縁の共住地を形成する。日常生活は農作業カレンダーに従って営まれる。高床杭上(こうじょう)式の家屋に住み、衣服はサロン(腰巻)にブラウス(女性が着用)と簡素であるが、祭礼にはサンポット(サロンを両足の間からたくしあげ、後ろで結ぶ)という民族衣装を着ける。米飯が主食で、プラホック(魚の塩辛)を添える。人々は篤信的な上座部仏教徒であり、同時に土着の精霊信仰ネアクタも拝む。葬式は、近親者が剃髪(ていはつ)し、僧侶(そうりょ)の読経ののちに荼毘(だび)に付される。1975年からの民主カンボジア政権下において、こうした伝統的な社会が急進的な大改革により壊されたが、79年からのカンボジア人民共和国、そして93年の総選挙による立憲君主制(カンボジア王国)への移行を経て再生しつつある。

[石澤良昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「クメール」の意味・わかりやすい解説

クメール

カンボジア人とも。カンボジアの主要民族。タイ,ベトナムにも居住する。クメール語を話し,上座部仏教徒が多い。6世紀には真臘を建国したといわれ,9世紀にはアンコール朝を築いた(アンコール・ワットアンコール・トム)。カンボジア内では約740万人(1990)。
→関連項目イサーンインドシナカンボジア扶南プノンペンホー・チ・ミン(都市)モン

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クメール」の意味・わかりやすい解説

クメール

「カンボジア」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクメールの言及

【アンコール朝】より

…カンボジアのシエムリアップ市近郊を王都に,9世紀から1432年まで栄えた古代クメール王国。アンコールとは〈都城〉を意味する梵語ナガラのクメールなまりで,王都の後世の呼称である。…

※「クメール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android