チャタレイ夫人の恋人(読み)チャタレイフジンノコイビト(その他表記)Lady Chatterley's Lover

デジタル大辞泉 「チャタレイ夫人の恋人」の意味・読み・例文・類語

チャタレイふじんのこいびと〔‐フジンのこひびと〕【チャタレイ夫人の恋人】

原題Lady Chatterley's LoverD=H=ローレンス長編小説。1928年成立。性的不能でかたくなな性格の夫をもつコンスタンスが、森番メラーズとの性愛によって真の愛に目覚め、古い自意識から解放されていく。その大胆な性描写は各国論議をよんだ。

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精選版 日本国語大辞典 「チャタレイ夫人の恋人」の意味・読み・例文・類語

チャタレイふじんのこいびとチャタレイフジンのこひびと【チャタレイ夫人の恋人】

  1. ( 原題[英語] Lady Chatterley's Lover ) 長編小説。ロレンス作。一九二八年成立。戦傷で下半身不随となった貴族の夫を持つコンスタンスが、森番メラーズとの交渉人間としての完成調和を見出す姿を描き、現代文明を批判した作者代表作

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャタレイ夫人の恋人」の意味・わかりやすい解説

チャタレイ夫人の恋人
ちゃたれいふじんのこいびと
Lady Chatterley's Lover

イギリスの作家D・H・ローレンスの10編の長編中、最後の重要な作品。1926年10月フィレンツェ郊外で筆をおこし、1928年1月8日に完成。私家版としてイタリア人の手により出版。決定稿の前に2種の完全な稿本があり、現在『初稿チャタレイ』(1944、1972)と『ジョン・トマスとジェーン夫人』(1972)の題で知られる。コンスタンス・リード、通称コニーはクリフォード・チャタレイ准男爵と結婚するが、戦傷で下半身不随の夫は、冷ややかさとかたくなさの象徴そのもので、やがてコニーは森番のオリバー・メラーズに真実の愛情をみいだし、古い自意識から解放されてゆく。作者自身の予見どおり、作中の大胆な性描写が問題となり、日本でも「チャタレイ事件」として論議をよんだ。1950年(昭和25)9月、訳者伊藤整(せい)と出版社(小山(おやま)書店)社長小山久二郎(ひさじろう)が起訴され、一審は訳者無罪、出版社は25万円の罰金を科されたが、1957年3月、最高裁は二審判決どおり、訳者にも10万円の罰金刑を科した。しかしその後まもなく、アメリカ(1959)、イギリス(1960)、旧西ドイツ(1961)で完本完訳の出版が可能になった。

[羽矢謙一]

『『チャタレイ夫人の恋人』(羽矢謙一訳・講談社文庫/伊藤整訳・新潮文庫)』

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