日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツチカブリ」の意味・わかりやすい解説
ツチカブリ
つちかぶり
[学] Lactarius piperatus (Fr.) S. F. Gray
担子菌類、マツタケ目ベニタケ科チチタケ属の純白のキノコ。傘は径5~15センチメートル、丸山形から扁平(へんぺい)に、さらに浅い漏斗(ろうと)形に開く。表面は無毛で粘りもない。ひだは白く茎に垂生。茎は長さ3~7センチメートル、太さ1~2センチメートルで白。全体に硬いがもろくて砕けやすい。傷をつけると白色の乳液を出す。夏から秋、広葉樹林に数多く発生するが、舌がしびれるほど辛いので日本では食用の習慣はない。しかし、無毒であるため、薄く切って水にさらし、辛い乳を洗い出してからラードなどで炒(いた)めると酒の肴(さかな)などによい。ロシアでは、コンブ、青トマト、香料などと塩漬けにし、サリョーノイ・グリビイと称する上等の前菜料理に使う。これに似てひだの粗いものをツチカブリモドキ、傘の表面にビロード状の毛を帯びるものをケシロハツモドキ、さらにひだの粗いものをケシロハツという。利用法はいずれもツチカブリと同様である。
[今関六也]