日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツバメガ」の意味・わかりやすい解説
ツバメガ
つばめが / 燕蛾
昆虫綱鱗翅(りんし)目ツバメガ科Uraniidaeの総称。中形から大形のガであるが、日本に土着しているウスバツバメガなど3種は開張25~40ミリメートル。体は非常に細く、はねは幅が広い。体、はねともに白色で、灰色の横線や波状線をもっている。幼虫は4対の腹脚をもち、白蝋(はくろう)物に覆われている。おもに熱帯地方に分布し、マダガスカル島、ニューギニア島、中央・南アメリカには、はねが金属光沢に輝く大形の美麗種を産する。このようにはでな種は、すべて昼飛性である。
オオツバメガLyssa zampaは、はねの開張100ミリメートルを超える大形種で、はねは暗灰色、はねの中央を細い白帯が走り、後翅には長い尾状突起がある。東南アジアの熱帯から亜熱帯に分布し、夜行性でよく灯火に飛来する。飛び方が非常に活発で、空中高く舞い上がる習性のためか、フィリピン方面で発生した台風によって、台湾や琉球(りゅうきゅう)諸島に運ばれ、過去に数回、宮古(みやこ)島と石垣島で発見されている。同属の種はインドからニューギニア島にかけて数種類分布している。
[井上 寛]