ツメナシカワウソ(その他表記)Aonyx capensis; Cape clawless otter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツメナシカワウソ」の意味・わかりやすい解説

ツメナシカワウソ
Aonyx capensis; Cape clawless otter

食肉目イタチ科カワウソ亜科ツメナシカワウソ属。頭胴長は 73~95cm。尾長は 41~67cm。体重は 16~20.5kgであるが,まれに約 27kgに達する。上面の毛色は薄い茶色から濃いこげ茶色までさまざまである。まれに頭部と肩に霜降り状に白い毛が混じるものがいる。上唇,頬および喉部と胸部は白色を呈する。頭骨は大きく,鼻鏡の上縁はアーチ型である。四肢の蹼(みずかき)はきわめて小さい。四肢の内側と外側の趾(あしゆび)には鉤爪(かぎづめ)がなく,中央の 3本にのみ短い鉤爪がある。乳頭数は 4個。門歯上顎下顎に各 6本,犬歯は上顎と下顎に各 2本,前臼歯は上顎 6~8本,下顎 6本,臼歯は上顎 2本,下顎 4本である。上顎の前臼歯および臼歯は大きく幅がある。単独もしくは家族群で行動する。おもにカニなどの甲殻類や軟体動物,カエルを捕食する。妊娠期間は約 63日で,1産 1~3仔と推測される。北緯 15°以南のセネガルから南アフリカ共和国の西部のケープ地方にかけて広く分布し,水辺に生息する。飼育例は非常に少ない。(→カワウソ

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツメナシカワウソ」の意味・わかりやすい解説

ツメナシカワウソ
つめなしかわうそ
African claw-less otter
[学] Aonyx capensis

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。カワウソ類の1種で、アフリカの海岸地方から森林内の緩流や池などにすむ。頭胴長95~100センチメートル、尾長約55センチメートル、体重14~23キログラムに達する。後肢の第1、第2、第5指のつめを欠き、水かきは前後肢とも小さい。魚よりもエビやカニを好んで食べるという。

[古屋義男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android