テキサス州対ジョンソン裁判(読み)テキサスしゅうたいジョンソンさいばん(英語表記)Texas v. Johnson

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

テキサス州対ジョンソン裁判
テキサスしゅうたいジョンソンさいばん
Texas v. Johnson

1989年6月21日,アメリカ合衆国最高裁判所が,アメリカ国旗を燃やす行為について,アメリカ合衆国憲法修正第1条のもと言論の自由として保障されるという判断を示した裁判。1984年8月,テキサス州ダラスで開催されたアメリカ共和党全国大会の会期中,ロナルド・ウィルソン・レーガン大統領の政策に抗議するために集まった人々のなかにいたグレゴリー・リー・ジョンソンが,市庁舎の前で国旗に灯油をかけて火を放った。ジョンソンは国旗冒涜を禁止するテキサス州法違反で逮捕され,罰金禁固 1年の刑を言い渡された。判決上告審であるテキサス州刑事上訴裁判所で,合衆国憲法修正第1条により「象徴的な言論は保障される」という根拠によって覆された。1989年3月に最高裁判所で口頭弁論が行なわれ,1989年6月,最高裁判所は州上告審の判断を僅差の 5対4で支持した。多数意見は修正第1条による言論の自由の保障を「根本原理」とみなし,政府は「観念の表現について,単に社会が当該観念を不快または好ましくないとの理由で」禁止することはできないとした。リベラル派判事として著名なウィリアム・ジョセフ・ブレナンジュニアが多数意見を書き,同じくリベラル派のサーグッド・マーシャル,ハリー・ブラックマンに加えて保守派アンソニーケネディ,アントニン・スカリアも多数意見に加わった。

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