日本大百科全書(ニッポニカ) 「テツギョ」の意味・わかりやすい解説
テツギョ
てつぎょ / 鉄魚
iron fish
[学] Carassius auratus
硬骨魚綱コイ目コイ科に属する淡水魚。形態学的にフナに類似している点が多いが、フナよりも各ひれが長く、とくに尾びれが目だって長い。遊泳速度がフナのように速く、水面を跳ねるなど野生的である。宮城県加美(かみ)郡加美町内の魚取(ゆとり)沼には、この魚が古くからすんでいることが知られており、1933年(昭和8)国の天然記念物に指定された。その後、山形、青森、秋田、長野県下でも同形のものが採集された。テツギョがフナの突然変異によって現れたのか、あるいはフナとキンギョの交雑によってできたものか明白ではない。しかし、フナと同色のものや、黄赤色や橙黄(とうこう)色のものがあること、またキンギョとフナの混養池で出現したり、人工的にフナとリュウキンを交雑すると、テツギョと同じ形のものができることなどから、キンギョとフナの交雑によって生じたと考えるほうが妥当のようである。
[鈴木 亮]