テトスへの手紙(読み)テトスへのてがみ(その他表記)Letter to Titus

改訂新版 世界大百科事典 「テトスへの手紙」の意味・わかりやすい解説

テトスへの手紙 (テトスへのてがみ)
Letter to Titus

新約聖書中《牧会書簡》と呼ばれる手紙群の一つパウロから彼の弟子であり有能な協力者であったテトス(パウロの《コリント人への第2の手紙》8:6,8:23)にあてて書かれた個人的な手紙の体裁をとってはいるが,《テモテへの手紙》と同様に,パウロにはない用語法や文体思想,背後の教会の組織制度および状況からして,真正のパウロの手紙とは考えない学者が多い。グノーシス的異端に対して〈健全な教え〉が強調され,道徳的・倫理的教訓が,福音直説法に基づくことなしに一方的に強調される。2世紀初めの成立と思われる。
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関連語 テモテ 青野

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テトスへの手紙」の意味・わかりやすい解説

テトスへの手紙
テトスへのてがみ
Pros Titon; The Letter to Titus

新約聖書中のパウロによる牧会書簡の一つ。『テトス書』ともいう。著者についてはパウロ説を疑問視する人もあり,パウロの覚え書が挿入されているだけだとする説もある。

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世界大百科事典(旧版)内のテトスへの手紙の言及

【牧会書簡】より

…新約聖書中の《テモテへの手紙》(第1と第2)および《テトスへの手紙》の三つをさす語。ともに使徒パウロが自分の弟子にあてて個人的に書いたという体裁をとり,牧会上のことがらを扱っているというので,このように総称されてきた。…

※「テトスへの手紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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