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…ただしヨハネは,みずからの聖霊体験に基づく復活信仰に拠り,福音書の中にイエスの生を同時代史的に描くことにより,この意味におけるキリスト論を人間理解の本質的前提としている限りにおいて,グノーシス主義そのものとは本質的に区別される。福音書 ところでパウロの立場は,《第2パウロ書簡》(《コロサイ人への手紙》と《エペソ人への手紙》)や《牧会書簡》(《テモテへの手紙》と《テトスへの手紙》)の著者たちによって継承されるが,とくに《牧会書簡》においてはパウロ的伝統が〈健全な教え〉として特徴づけられ,これを担う監督(司教)と執事(助祭)に期待される徳目が,偽りの教えを説く者の不品行と対置されている。使徒的伝承を委託された教会の伝統,これを排他的に担う教職位階性(監督=司教→長老=司祭→執事=助祭),これらを認めずにキリストを介して神との直接性を主張するグノーシス的〈異端〉の排除,――要するに初期カトリシズムの特徴は,《ヨハネの手紙》《クレメンスの手紙》《イグナティオスの手紙》などにしだいに散見されるようになってくる。…
…新約聖書中《牧会書簡》と呼ばれる手紙群の一つ。パウロから彼の弟子であり有能な協力者であったテトス(パウロの《コリント人への第2の手紙》8:6,8:23)にあてて書かれた個人的な手紙の体裁をとってはいるが,《テモテへの手紙》と同様に,パウロにはない用語法や文体,思想,背後の教会の組織制度および状況からして,真正のパウロの手紙とは考えない学者が多い。…
…新約聖書中《牧会書簡》と呼ばれる手紙群に属し,第1と第2の二つの手紙からなる。ともにパウロから彼の愛弟子であるテモテにあてて書かれた個人的な手紙の体裁をとっているが,パウロにない用語法や文体,思想,さらに背後に予想されるのちの教会の状況などからして,真正のパウロの手紙とは考えられず,多くの学者は2世紀初めの成立と考えている。…
※「牧会書簡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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