改訂新版 世界大百科事典 「テラゾー」の意味・わかりやすい解説
テラゾー
terrazzo
大理石や石灰岩の砕石をセメントで固め,表面を研磨した人造大理石の一種。通常径10mm以下の砕石を使用し,その種石と同色の顔料を加えた白セメントで固め,種石部分とセメント部分とが一様な色合いになるように作る。裏面に鉄筋を入れて補強するが,最近ではガラス繊維も補強材として使用される。
テラゾーは大理石の代用品として,第2次大戦後の一時期まではビル建築の内装に広く使用されてきた。しかし経済成長を遂げた今日では,美観を重視する単なる装飾目的への使用は本来の大理石に置き換えられて,むしろテラゾーそのものが持つある程度の美しさと,堅牢さや低価格が求められるような個所に,使用が限定されるようになった。駅や商業ビル,娯楽・運動施設など公衆の集まる場所の床材としては,40cm角の規格品であるために安価なテラゾータイルが広い販路を持ち,そのような場所での便所の隔壁としての利用も多い。種石に御影石を使うことは,大理石より研磨費用が高くつくためにほとんど行われていない。擬石と呼ばれる御影種石を固めたものをのみでたたいて粗面仕上げにしたものは,御影石代用としてビルの外壁に一時は相当に使用されたが,今日ではやはり姿を消した。これらの人造石は,ヨーロッパやアメリカでは床材以外にはまったく利用されていない。
執筆者:矢橋 謙一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報