日本大百科全書(ニッポニカ) 「テンゲル砂漠」の意味・わかりやすい解説
テンゲル砂漠
てんげるさばく / 騰格里砂漠
中国、内モンゴル自治区の阿拉善(アルシヤ)左旗の南方から甘粛(かんしゅく)省中部にかけて広がる砂漠。東西は賀蘭(がらん)山脈の西から石羊(せきよう)河の形成するオアシスにまで及ぶ。面積約4万2700平方キロメートル(中国第4位)。テンゲルとはモンゴル語で漠として天空のように際限のないようすを意味する。年平均気温は8℃前後、年降水量は50~250ミリメートル。砂漠の内部では移動砂丘が大部分を占め、固定された部分は少なく植生は貧しい。しかし大小さまざまな沼沢が400余り分布し、もっとも大きいものでは面積100平方キロメートルにも達し、これらは砂漠開発の基地となりうる。西端に位置する甘粛省民勤(みんきん)県では、オアシスの周辺から砂丘の安定、農地化を進め、相当の成果をあげている。
[秋山元秀]