日本大百科全書(ニッポニカ) 「トイレットペーパー」の意味・わかりやすい解説
トイレットペーパー
といれっとぺーぱー
toilet paper
ちり紙をロール状にしたもので、トイレットロール(巻き取りちり紙)とよばれている。おもに、水洗便所の発達に伴って普及したが、その用途から、使用に際しての衛生と適度のふき取り性および使用後における下水処理の容易なことなどが必要とされ、次のような特性が求められる。
(1)強さと、肌に触れて不快感がないよう適度の柔軟性が要求される。最近では技術の進歩により薄い紙(坪量18g/m2程度)にクレープをかけることが可能となり、さらに二枚重ねのものも多くなった。(2)吸水性に優れ、漉(す)きむらおよび穴あきがないもの。(3)トイレットペーパーは再生不能の消耗品であるので安く供給でき、使用後は下水処理が容易なように繊維が水にほぐれやすく、また下水の生物処理を阻害する物質が含まれないこと。
トイレットペーパーの原料としては、かつては晒(さらし)化学パルプと機械パルプがおもに用いられたが、最近では古紙の脱墨および除塵(じょじん)などパルプの再生技術が進んだため、再生パルプがおもな原料とされるに至った。またその使用目的から、一般の印刷用紙や筆記用紙のように、にじみ止めや裏写りの防止のための処理を必要としないため、副原料として填料(てんりょう)およびサイズ剤は用いない。トイレットペーパーの抄造に際しては、通常、短網または円網(まるあみ)のヤンキーマシンが用いられ、クレープはヤンキードライヤー上で施されるのが普通で、規格では、径38ミリメートルの芯(しん)の上に114ミリメートル幅で径120ミリメートル以下の太さに巻き取られて商品となる。
[御田昭雄 2016年4月18日]