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懐紙 かいし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

懐紙
かいし

たたんで懐中に入れておく紙。ふところ紙,たとう紙 (帖紙) ともいう。のちに詩,和歌などの料紙をさし,また詩歌を書いたものをいう。縦 30cm,横 40cmほどの大きさで,位階により寸法,官位署名の書式字配りなどに規定があった。藤原佐理 (すけまさ) 筆の『詩懐紙』が最古で,『熊野懐紙』は数も多く有名。なお現在ではおもに茶道で用いられ,茶席に携帯し,菓子を取ったり指先や茶碗をぬぐったりするのに使われる。

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デジタル大辞泉の解説

かい‐し〔クワイ‐〕【懐紙】

畳んでふところに入れておく紙。臨時に書状や詩歌の料紙に用いたり、茶席で菓子を取り分けたり茶碗の縁などをふくのに用いたりする。ふところがみ。畳紙(たとうがみ)。
詩歌・連歌俳諧を正式に記録、詠進するときに用いる料紙。檀紙(だんし)・奉書紙杉原紙など。寸法・折り方・書き方などにおのおの規定がある。

ふところ‐がみ【懐紙】

たたんで懐に入れておく紙。ちり紙にしたり、詩歌などを書いたりする。畳紙(たとうがみ)。かいし。

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百科事典マイペディアの解説

懐紙【かいし】

たたんで懐中に入れておく紙。〈ふところがみ〉〈たとうがみ〉とも。詩歌をそれに書いたことから,それらを書いた料紙をさす。檀紙,杉原紙などを用いた縦1尺2寸前後のものが多い。
→関連項目雁皮紙京花紙小菊杉原紙奈良紙

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世界大百科事典 第2版の解説

かいし【懐紙】

たたんで懐に入れる紙の意で,〈ふところがみ〉〈たとうがみ〉また畳紙(じようし),帖紙ともいう。即興の詩や歌,あるいは消息を書いたり,菓子などの包紙やぬぐい紙としても用いられた。詩や和歌の会では詩歌を懐紙に書き,しだいに書式,用紙の寸法,折り方などの形式が整い,懐紙といえば詩,歌,連歌,俳諧などを書式に従って記録,詠進する紙をさすようになった。檀紙,杉原紙などを用い,大きさはおよそ縦1尺2寸前後だが,時代や身分によって異なった。

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大辞林 第三版の解説

かいし【懐紙】

たたんでふところに入れておく紙。茶席で、菓子を取り分けたりするのに用いる。普通、奉書紙を使う。ふところがみ。たとうがみ。
和歌・連歌・俳諧などを正式に書きしるす時に用いる紙。檀紙だんし・奉書紙・鳥の子紙など。連歌・俳諧では横半折の折紙を用いる。

ふところがみ【懐紙】

畳んで懐に入れておく紙。ちり紙にしたり、歌などを書いたりする。畳紙たとうがみ。かいし。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

懐紙
かいし

日常着装する装束(衣服)の懐中に、束ねた紙を携帯したことにちなむことば。ふところがみ、たとうがみ(畳紙・帖紙)ともいい、平安時代の『うつほ物語』『枕草子(まくらのそうし)』『源氏物語』などに、この紙を使用して手紙を書いたり手習いをした例があり、コウゾ(楮)を原料とする陸奥紙(みちのくがみ)、まゆみの紙(檀紙(だんし))がもっぱら懐紙として用いられ、女子用には着色した薄様(うすよう)が用いられた。ほかに、貴族の宮廷公事でのメモ用紙、礼紙の代用としても広く応用されたが、詩会や歌会に際して自詠の詩歌を清書して提出するための正規の料紙に用いられ、書かれた作品そのものも懐紙とよぶ。詩懐紙、和歌懐紙がこれである。今日、平安中期の藤原佐理(すけまさ)筆詩懐紙、同末期の西行(さいぎょう)ほか筆一品経(いっぽんきょう)和歌懐紙、鎌倉初期の後鳥羽院(ごとばいん)ほか筆熊野(くまの)懐紙はとくに名高く、そのほか春日(かすが)懐紙、熱田(あつた)本懐紙、聚楽(じゅらく)懐紙をはじめ、多くの懐紙が現存する。それらは、端作(はしづく)り、位署(いしょ)、本文の順におよその書式に基づいて書かれるが、鎌倉末期を経て室町時代に入ると完全に書式は定着する。懐紙の寸法も、身分によって大小が決められていたらしいが、書式と同様、各家々による違いも認められる。なお、後世、茶会で懐中に用意する小さな紙(小菊紙)も懐紙とよぶ。[古谷 稔]

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