トルコの軍楽隊メヘテルハーネのリズムを特徴とする音楽。オスマン帝国のヨーロッパ侵攻などの影響で18世紀ごろからトルコ風軍楽隊が各地に誕生した。芸術音楽においても18世紀から19世紀にかけてその語法を取り入れた多くの作品が書かれた。モーツァルトの《ピアノ・ソナタ》(K.331)の第3楽章のトルコ行進曲は最も有名であるが,そのほかモーツァルトの《バイオリン協奏曲第5番》(K.219)もフィナーレにこの語法を取り入れている。また,M.ハイドンも付随音楽《ピエタス》(1767)にトルコ行進曲を含み,《ザイール》(1777)にもトルコ組曲が含まれている。ベートーベンにも《トルコ行進曲》と通称されるピアノのための《六つの変奏曲》作品76(1809)があり,その主題は,祝典劇《アテネの廃墟》作品113(1811)のトルコ行進曲にも用いられている。
執筆者:西原 稔
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モーツァルト作曲のピアノソナタ第11番イ長調(K331)の第三楽章の俗称。アレグレット、イ短調、4分の2拍子で書かれたこの楽章は、当時流行していた異国趣味に倣い「トルコ風のロンド」Rondo alla turcaという標題をもち、その独特な旋律やリズムゆえに、現在では単独で演奏されるほど広く親しまれるようになった。また、ベートーベンのピアノのための六つの変奏曲ニ長調(作品76)の主題も、のちに序曲と八曲からなる付随音楽『アテネの廃墟(はいきょ)』(作品113)に「トルコ行進曲」として転用されたため、この名称でよばれることがある。
[三宅幸夫]
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…軍楽隊に輸入された楽器は17世紀末から順次オーケストラにも取り入れられた。また行進曲のリズムを模した〈トルコ行進曲〉が数多く作曲されたが,モーツァルト,ベートーベンのものが有名である。 18~19世紀,各国は軍事力の拡張に伴い,軍楽隊はその重要性を増すこととなった。…
※「トルコ行進曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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