音楽用語。もともとフランス語のロンドーは、中世からルネサンス時代におけるフランス語による歌曲の重要な形式であった。発展段階によって個々の相違はあるが、やがてそれは、歌詞や音楽にみられる同一のパターンが異種のものを挟みながら回帰する、という形式特徴をもつに至った。このロンドーとどんなつながりがあるのか、明確にされてはいないが、17世紀に入って器楽曲に同じくロンドー(ロンド)という名称をもつ形式が出現する。これは、リフレイン(ルフランrefrain)とよばれる反復句とクープレcoupletとよばれる何種類かの挿入句との規則的な交代からなっており、クープランらのクラブサン(チェンバロ)曲や、リュリらのオペラやオーケストラ曲によくみいだされる。さらにこのことばは、18世紀後半の多楽章の器楽曲において、もう一度蘇生(そせい)される。いったんソナタ多楽章構造が確立されたあと、同じようにソナタ形式が用いられていた両端楽章を区別しようとする意識から、フィナーレに軽い性格をもったロンドが導入される。6/8拍子や2/4拍子による動きの速いものが多い。形式的には、かならずしも明確な区分をもたない例も無視できないが、ロンド形式と称される整然とした形式も確立される。
[大崎滋生]
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…古典派以後のソナタ,交響曲,協奏曲など多楽章の楽曲においておもに終楽章に用いられた形式。単にロンドということもあり,この場合,ジャンル名としてこの形式による独立楽曲を指すこともある。ロンド形式の特徴は,ロンド(回旋)という名が示すとおり,主題(A)がエピソード(クープレともいう)を挟んで何度も回帰するところにある。…
※「ロンド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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