食の医学館 の解説
トロピカルフルーツのニューフェイス
《栄養と働き》
トロピカルフルーツは種類が多く、また栄養分も多岐にわたります。概していえば、植物のビタミンC合成には紫外線が関与しているので、赤道に近いほどビタミンCが豊富になります。
〈ビタミンCの王様アセロラ〉
○栄養成分としての働き
ビタミンC含有量のトップは、カリブ海沿岸諸国で栽培されているアセロラです。100g中1700mgと、くだもののなかで群を抜いて多く、レモンの17倍にもなります。しかも90%が還元型のため、体内で利用しやすいうえ、カロテンが多いのも特徴です。美肌づくりや疲労回復、かぜやがん予防にも有効です。また、ブドウ糖がおもなので、エネルギー補給にもなります。
世界三大美果の1つで、トロピカルフルーツの女王ともいわれるのがマンゴスチン。果肉はコレステロール値を下げるといわれています。皮にはタンニンが多く含まれ、その殺菌作用のためかインドネシアなどでは粉末を万病の薬として用いるほど。同じく三大美果の1つがチェリモアで、原産地は中米です。ペルー語で「冷たい果実」というとおり、冷やすと天然のシャーベットになります。ビタミンCのほか、貧血を予防し発育を促進する葉酸(ようさん)を多く含みます。
〈栄養バランスのすぐれたドリアン〉
トロピカルフルーツの魔王とも呼ばれるドリアンは、東南アジア原産です。強烈なにおいはインドール誘導体で、タマネギの腐敗臭に似ています。ドリアンはたんぱく質、脂肪、ミネラルなどをバランスよく含み、カロリーはバナナを上回ります。また、皮膚を健康に保ち、血液の循環をよくするナイアシンが豊富で、皮を皮膚病の外用薬として用います。
ブラジル原産のパッションフルーツは、免疫力を高めるカロテンが100g中1100μgと飛び抜けて多く、仲間のグラナディアは種まで食べられますが、この種に鉄やリンが豊富に含まれ、貧血や低血圧の人に有効です。
そのほか、砂糖の400倍の甘みをもち、ダイエットに最適なラカンカ、ビタミンCとペクチンが多く、美容や便秘に効くスターフルーツなどがあります。