ドリアン(読み)どりあん(英語表記)durian

翻訳|durian

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドリアン」の意味・わかりやすい解説

ドリアン
どりあん
durian
[学] Durio zibethinus Murr.

パンヤ科(APG分類:アオイ科)の常緑高木。マレー半島、東インド諸島原産といわれ、高さ30メートルに達する。葉は革質、長楕円(ちょうだえん)形で長さ約15センチメートル、幅約5センチメートル、基部は丸く、先端はとがる。葉表は暗褐色、葉裏は灰褐色の鱗片(りんぺん)で覆われる。幹や大枝から短い花序を直接出し、白または淡黄色の5弁花を数個開く。子房は鱗片で覆われる。果実は球形または卵形で径15~20センチメートル、長さ15~25センチメートル、褐色で表面に堅い錐(きり)状突起が密にある。果皮は厚く、果内は5室からなり、各室は数個の淡黄色の肉塊で満たされる。各肉塊は狭長楕円形で灰褐色の種子が2、3個ある。

 果肉食用とする。肉質は生クリームに似て、かすかにデンプン質を感じ、甘味が強く、上品な香りがある。ただし、果皮の内壁から出る腐敗したタマネギ臭のような悪臭の移り香が混ざるため、人によってはこれを嫌う。しかし、味のよさから熱帯産果実の王様といわれ、生食のほかアイスクリームやジャムなどに用いる。また幼果は塩漬けにして食べる。種子はジャガイモの肉質に似ており、煮るか焼いて食べ、またデンプンをとって薬用とする。多くは3~4月に開花して8~9月に熟すが、8~9月に開花して2~3月に熟すものもある。

[飯塚宗夫 2020年4月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドリアン」の意味・わかりやすい解説

ドリアン
Durio zibethinus; durian

パンヤ科の常緑高木。インド,ミャンマー,マレーシア,インドネシアなどで栽植されている。原産地は不明であるがマレー半島あたりと考えられている。樹皮は厚く灰黒色。葉は楕円形で表面は光沢があり,裏面は幼枝とともに銀色を帯びた黄褐色の鱗片を密生する。春に,大型で白色の鐘形花が円錐花序をなしてつく。花弁は5枚,10本ほどのおしべと1本のめしべが花外へ飛出している。果実は夏に熟し,長径 20~30cmほどの卵形ないし球形で,灰褐色の五角錐状の硬いとげがある。種子の周囲に淡黄色で独特の臭気があるクリーム状の果皮があり,食用にされる。臭気にもかかわらず味がよいので「果実の王様」といわれるが,保存がきかない。生食のほかジャム,アイスクリームなどに加える。

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