パッションフルーツ(読み)ぱっしょんふるーつ(英語表記)passion fruit

デジタル大辞泉 「パッションフルーツ」の意味・読み・例文・類語

パッションフルーツ(passionfruit)

トケイソウ科の蔓性つるせい多年草。葉は三つに深く裂けている。花はトケイソウに似て、白色。果実は球状で、紫色に熟し、多汁で芳香があり、生食のほかジュースにする。ブラジルの原産。くだものとけいそう。

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精選版 日本国語大辞典 「パッションフルーツ」の意味・読み・例文・類語

パッション‐フルーツ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] passion fruit ) トケイソウ科の蔓性の多年草。葉は三つに深く裂け、花はトケイソウに似て、白色。その果実は球状で紫色に熟し、生食のほかジュースとして飲用する。ブラジルの原産。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パッションフルーツ」の意味・わかりやすい解説

パッションフルーツ
ぱっしょんふるーつ
passion fruit
[学] Passiflora edulis Sims

トケイソウ科(APG分類:トケイソウ科)の多年生つる草。果実を食用とするため、和名クダモノトケイソウという。ブラジル原産。葉は三叉(さんさ)状に分裂する掌状単葉で、横径12センチメートル。花は新生したつるの葉腋(ようえき)に単生し、早朝に開花、午後には閉じる。花形はトケイソウと同様で、花弁、萼片(がくへん)とも5枚で白色。基部が紫色の糸状の副花冠が多数ある。雄しべは5本、雌しべは1本で柱頭が三裂する。トケイソウの名は、この花形を時計の文字盤に見立てたもの。果実は球形または楕円(だえん)形で、長さ5~8センチメートル。熟すにつれて黒紫色となるが、別に黄色になるキイロクダモノトケイソウもある。中南米で栽培が多いが、沖縄でも栽培できる。近縁種に、品質のよいグラナディヤ、大果のオオミトケイソウ、高地にできるバナナパッションフルーツなどがある。

 果皮はもろく、厚さ3ミリメートル、中に乳白色のパルプに包まれた多数の種子がある。パルプは多汁で甘・酸味が適和し、芳香があって美味である。果実は生食および加工用とする。生食ではパルプに包まれた種子もそのまま食べる。加工はジュース専用で、果皮付き搾汁(さくじゅう)と、種子とパルプを分離してパルプのみからの搾汁の2方法がある。前者は果皮の色やえぐ味がつく。後者は収量は少ないが黄色の特徴あるジュースが得られる。搾汁後は変質を防ぐため、すぐ冷蔵するか、高温殺菌(85℃で5分)または瞬間殺菌する。単独で飲用するかリンゴ果汁やオレンジピューレなどと適宜混ぜて利用する。なお生果汁100グラム中には糖質15.8グラム、カロチン1400マイクログラム、A効果780IUを含み、酸度は3.0前後である。

[飯塚宗夫 2020年6月23日]


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改訂新版 世界大百科事典 「パッションフルーツ」の意味・わかりやすい解説

パッションフルーツ
passion fruit
purple granadilla
Passiflora edulis Sims.

トケイソウ科の巻きひげを有するつる性の多年草。単純な果形と対照的に,花弁,おしべ・めしべ,総状の副花冠の配列を,時計にみたてたり,キリスト受難の形にちなむ名の由来に,本種の特性をみる。クダモノトケイとも称する。葉は互生で3出の掌状であり,茎の各節に巻きひげと托葉がある。花は白色あるいは帯紫色で,径5~7cm。果実は径5cm内外の球もしくは卵形で,深紫色に熟する。約3mmの厚さの果皮の内側はトマトに類似し,濃黄色のゼリー状の果肉が小さな黒色種子をつつむ。ブラジルが原産地であり,現在は熱帯,亜熱帯の各地で栽培されている。日本では鹿児島県南部,沖縄県などにおいて経済栽培が試みられている。半割りしてスプーンで生食するほか,ジュース原料として重用される。ビタミンCが豊富である。そのほかに,キャンディ,砂糖漬,シャーベット,ジャム,ゼリーの材料およびカクテルの香りにも用いる。

 トケイソウ属Passifloraは400種以上が知られ,そのうち30種以上の果実が食べられている。栽培されるものにはパッションフルーツのほかに,オオミノトケイソウP.quadrangularis L.,ミズレモンP.laurifolia L.など数種がある。いずれもパッションフルーツほど耐寒性はない。
トケイソウ
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百科事典マイペディア 「パッションフルーツ」の意味・わかりやすい解説

パッションフルーツ

トケイソウ科の常緑つる性の多年草。ブラジル原産。17世紀スペイン人の宣教師により発見され,花の形がキリストの受難の姿に似ていることからパッションフルーツ(受難果)と名づけられた。日本では同じく花の形からクダモノトケイソウと名づけられている。世界中の熱帯,亜熱帯で栽培されており,主産地は中南米。果実は長さ5〜8cmの球形または楕円形をしている。果皮は黒紫色,果肉は橙黄色のゼリー状。多汁で甘酸っぱく,はちみつに似た甘味と特有の芳香がある。生食のほかジュースなどに加工する。日本へは米国やニュージーランドから輸入されている。

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栄養・生化学辞典 「パッションフルーツ」の解説

パッションフルーツ

 [Passiflora edulis].クダモノトケイソウともいう.ツバキ目トケイソウ科トケイソウ属の果樹.果実を食用にする.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パッションフルーツ」の意味・わかりやすい解説

パッションフルーツ

「トケイソウ(時計草)」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のパッションフルーツの言及

【トケイソウ(時計草)】より

… トケイソウ属Passiflora(英名passionflower)は南アメリカを中心に400種以上が知られ,種子をつつむ種衣がゼリー状で,適度な酸甘味と芳香のあるものが多い。果物用に栽培されているのは,有名なクダモノトケイ(パッションフルーツ)(イラスト)のほかにも数種あり,また野生種でも食用にされる種は多い。 観賞用として作られるものにはほかにベニバナトケイソウP.coccinea Aubl.,ムラサキフイリバトケイソウP.trifasciata Lem.などがある。…

※「パッションフルーツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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