ソ連の詩人。スモレンスク地方の貧しい鍛冶(かじ)屋の子に生まれ、地方新聞の編集に携わる。のち、モスクワの歴史・哲学・文学大学哲学科を卒業。最初の有名な作品は叙事詩『ムラビヤ国』(1936)で、農村における社会主義変革をテーマとしたもの。大祖国戦争中の兵士を主人公として、戦うロシア人民の典型を歌い上げた叙事詩『ワシリー・チョールキン、戦士の書』(1942~45)は、国民的な作品となっている。同じく大祖国戦争に捧(ささ)げられた作品に叙事詩『路傍の家』(1946)がある。さらに、ソ連の歴史を振り返り、その未来を思索する哲学的な連作叙事詩『遠いかなた』(1958~60)は、彼の詩作が完成の域に達したことを示すものといえよう。この作品や叙事詩『あの世のチョールキン』(1954~63)などでは、スターリンの個人崇拝が厳しく批判されている。ほかに『文学評論集』(1963)などがある。なお文芸誌『ノーブイ・ミール』編集長としてエレンブルグ、ソルジェニツィンなどの作品を取り上げ「雪どけ」を推進したが、1970年2月解任された。
[草鹿外吉]
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